報道された米油について
先日、オガクロで扱っている米油に関する報道がありました。対応を決めましたのでご案内します。
◾️今回の問題について
今回問題となったのは脱臭などのため油を高温で加熱(200℃以上)した際に発生するとされる「グリシジル脂肪酸エステル(グリシドール脂肪酸エステル)」という物質です。
※以下グリシドール脂肪酸エステルと記載
この物質については日本では規制の対象ではなく、現在のところ規制値なども設定されていないということです。
※2015年に農林水産省から食品安全に関するリスクプロファイルシートが公開されています↓
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/attach/pdf/hazard_chem-67.pdf
過去に他メーカーが販売していた油でこの物質が検出された際に非常に詳細な検証が行われていて、メーカーのホームページに掲載されています。
※根拠となる論文など掲載もあり信頼性も高いと思われます。
「グリシドール脂肪酸エステルの安全評価について」kao(花王)ホームページより↓
掲載されている情報によると、グリシドール脂肪酸エステルは国際がん研究機関(IARC)のハザード評価書で「ヒトにおける発がん性については分類できない(Group3)」とされているそうです。
※2010年3月現在の情報
ただ名前が似ていて少しややこしいのですが「グリシドール」という物質がIARCのハザード評価において「ヒトに対して恐らく発がん性がある」とされていて、グリシドール脂肪酸エステルを人が摂取し消化される過程でグリシドールに変わる可能性があるのではないか、ということで安全性が議論されているようです。
※下記論文の総説が簡潔にまとまっていてわかりやすいかと思います↓
「総説/グリシドール脂肪酸エステルの安全性に関する最近の動き」桂木能久
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/25/1/25_15/_pdf/-char/ja
台湾ではグリシドール脂肪酸エステルに関して規制値を設定しているため、今回の報道につながったようです。
■オガクロの対応について
上記内容を踏まえてオガクロとしての対応を考えました。
①IARCのハザード評価ではグリシドール脂肪酸エステルには「ヒトに対する発がん性については分類できない」とされていること。
②グリシドール脂肪酸エステルがグリシドールに変わる可能性は否定できないものの、現時点では立証されていないこと。
③農林水産省、食品安全委員会のワーストケースシナリオを用いた検証から健康に影響するものではないと結論付けたこと。またその詳細が公開されていること。
以上の3点を考慮し、上記情報をお伝えしてお客さんに選択してもらうことを前提に、当該の米油について販売を続けようと思います。
ただ日本では規制値は設定されていないものの、世界的にはグリシドール脂肪酸エステルの規制が進んでいて、EU、ユーラシア経済連合EEUの基準値が1000μg/kgとなっています。台湾も最近この基準に合わせたようです。そして今回検出された数値は1688 μg/kgです。上記情報を参考にしながら考え選択していただければと思います。
◾️圧搾式のなたね油について
オガクロで取り扱っている米油は当該の米油のみですが、なたね油であれば熊本県の坂本製油さんの圧搾式の純なたね油も販売しています。
圧搾式であれば加熱しないためグリシドール脂肪酸エステルは発生しません。気になる方はこちらを選んでいただければと思います。
圧搾式は手間暇がかかる上、大量に生産することもできません。今回のような問題をキッカケにそういう小さなメーカーさんの仕事やこだわりに対する理解や、価格に対する認識が変われば良いなと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
デグチ
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