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香港上陸前に知っときたかったこと:日常生活編

とりあえず香港に上陸して、おおよそ1年になる。うち2ヶ月は途中で日本に帰国したので、10ヶ月ほど経ったのだが、忘れないうちに今後香港に赴任になる人々(主に単身のおっさん)に向けての備忘録をここに書いておく。


■まずは俺の状況説明

俺は基本的に英国の会社に所属しているのだが、書面上は香港の会社での現地採用である。

英語は7年間英国に居たので最低限は出来るが、中国語(北京語・広東語とも)は、知識ゼロのまま乗り込んだ。

オフィスでは、日本人は...というか外国人は俺一人で、かつ会社側は外国人をはじめて受け入れる体制となっていた。だから会社も俺も、わからんことだらけでヒーヒー言いながらたどり着いた。いやーしんどかったな。


■すべては香港市民IDから

上陸後、英国(ドイツでもそうらしいが)では、最初に頭を悩ますのは「どっから俺は手を付ければいいんや」である。つまりこんな感じである

・家が借りたいです→「銀行口座作れ」
・銀行口座開けたい→「公共料金とかのレシートもってこい」
・公共料金…→…家が借りたいです、に戻る

というループを延々とする感じである。

だが、香港は違う!香港IDさえ手に入れば、あとはバカバカ決まっていくので、大変楽だ。

香港IDを得るには、最低でも2週間程度かかるのだが、ホテルなどの仮住まいでもとりあえず受け入れてくれるので、上陸直後にやることは兎にも角にも、香港ID獲得である。

香港IDさえあれば、家の契約も銀行口座もケータイも、そして任意医療保険契約もすべてOKである。おおなんというスウィフトなラブリー・カントリー

もちろん居住地が決まったら、ちゃんとその住所を登録しないと、色々面倒である。


■最初に知っとくべき3つの広東語

香港では英語はある程度通じるとはいえ、マジで”ある程度”である。外国人がいるオフィスで働いている人は話せるが、日常生活で出会う人々はできない人がかなり多い(俺の住んでいるエリアだからかもしれないが)。

というわけで、まず最初に(生きていく上で)覚えるのは、挨拶云々ではなく、①広東語の数字の0-9と10と100の言い方である。

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(俺の作った広東語数字覚え図)

これはなぜかというと、買い物はもちろんだが、注文したものや行列など、自分を番号で呼ばれることが多くあり、聞き逃すと手に入らないという、切実な事情があるのだ。

次に必要なのは、②飲咩茶(やむめいちゃー)である。これは日常生活の会話では、はい・いいえでなんとかなる場合が多いのだが、これは店員の「あなたは何のお茶を飲みますか?」という質問なので、具体的に答えねばならない。飲茶屋に行ったら、人数を聞かれ(これは見ればわかるので、なんとかなる)、席に座ってまず最初に聞かれるのがこれだ。あと普通の飯屋で、A定食!と伝えた後にくっついてくる質問である。

座ったら烏龍茶が飲みたいと無難にいいたくなるが、そう言って出てくることは無いので、プーアールとかジャスミンとか鉄観音とか、そういうちょい具体的な広東語を覚えねばならない。

最後に必要なのは③冇(もう)だ。これは「無い・売り切れ」という意味だが、これがわからないと、品物やもうメニューが売り切れで無いのか、俺の意図が伝わってないのか、そもそも質問されているのかなにかの返事なのかが、サッパリわからないからだ。

この3つがあれば、なんとか数ヶ月は生きていける…と思う。


■香港は全てが美味しいと思うなよ!

食い物の話はどの国だろうとマズイと言うとネットで荒れるので、あんまするべきではないのだが、意外だったのは「香港は美味しい店と同じくらいマズイ店があり、マズイところは段違いにマズイ」である。俺は上陸前、香港はどんな店も美味しいと思っていたのだが、マズイ店は確実にある。

だが、マズイ店と言っても、その一品だけがクソマズということもあるので、”不味道”みたいなのがあったら、奥が深い国である。

なお洋食はかなりの確率で被弾する(だいたい砂糖X出汁入りケチャップ味みたいになる)。特に英国経由で上陸すると、香港グレイビーソースは卒倒するから注意しろよな!

一方、デザートは全てがメチャクチャ美味しい。点心もだ。まじで世界最強。

■貧乏おっさんの味方、三餸飯(さんそんふぁん)

香港上陸直後は、右も左もわからないので、メシマズ攻撃に連続で被弾すると思うのだが、それは仕方がない。なぜなら上陸直後はどんな人も情報量が圧倒的に不足しているし、ガイドブックに載っている美味しい店というのは、毎日食ってたらあっという間に金が飛ぶからだ。

かといって、そこそこ美味しくて安い麺の店もあるが、お腹が一杯にならないという難点がある。まあスナックだしな。

そんな心が折れそうなときに現れるのが、兩餸飯/三餸飯と書いてある店だ。ここはご飯がデフォルトで付いていて、オカズを3品とか2品をオカズバーみたいになってるとこの実物を前にして選ぶわけである。ちょっと脂っこいのだが、クソマズで倒れたことはこれまで一度もない。まともな量だし、あと値段がHKD30-40と、普通にレストランの中で食うものの半額くらいのイメージである。基本持ち帰りだが、店によっては中で食える。

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(以下画像は全てひろいもの)

このタイプの店が値段や味以外にいいのは、最初に「さんそんふぁん!」と言えば、あとは指差しでいいので、話をしなくてすむのだ!

さあ、香港IDがゲットできるまでの仮住まい中は、この三餸飯屋で生き延びるんだぜ、ボーイズ。


■水回りがー!電気製品がー!

さて、住まいも決まり実際に生活していくと、色々家に問題があることがわかってくる。壊れるのはしょうがないが、一番の問題は「じゃあ直すのに必要なソレは、どこで売っているのか」である。香港にはビッグカメラもコーナンも無いので、そのへんが1年目の人間にはかなり厄介である。

トイレの水が流れん!

これは故障ではなく、マンションが工事かなんかで不定期で止めている場合である。張り紙を張ってくれているのだが、そんなもん読めるわけないやんけということで、不安な夜を過ごすと思うのだろうが安心してくれ!いつかは戻る。

その時に大活躍するのが洗面器だ!洗面器は買っとけ!

なんか部屋がくせえ!

これは冬場はそうでもないのだが、夏場になるとやたら下水臭くなったりしてくる。どうも部屋と外部との気温差かなんかな気がする。

臭いの第1の原因は、そもそも下水につながっているところにU字管を使ってないとか(日本や英国で使ってないのは珍しいと思う)、下水とのコネクションや板の部分に隙間があるとかなのだが、こいつを倒す素晴らしいやつは、防水コーキング剤とコーキングガンだ。これでジュジュジュジュっと塞いでしまって、あとは大家と相談である。

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あ、ダクト(防水)テープはあまり臭いには効かなかったが、こいつはめちゃくちゃ様々な初期対応に楽なので買っとけ!

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ちなみにそれらはどこで売っているかというと「五金」と書いてある金物屋みたいなとこである。

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なんか電化製品うごかねええ!

なぜか備え付けの電化製品が、いいタイミングで壊れる。これは220Vの英国プラグのやつ(香港は英国タイプ)はプラグ側に、カプセルみたいなヒューズが入っているので、それが切れた可能性が結構高い。なお電源タップにもヒューズが入っているので、そっちの可能性もある。

じゃあそれはどこで売っているんだというと、やはり「五金」である。おお五金はいいヤツ。そのプラグのヒューズを外して、その店に持っていけば(種類が色々あるので)、言葉がわからなくても通じる。安いので、3つ4つ同時に買っておいたほうが良い。どうせ何かに使える。

それでも動かなかったら、備え付けの場合は大家に相談である。

蛍光灯が切れた!

これは電球系ならそこらの雑貨屋で売っているのだが、長いやつとか丸いやつは「五金」でも売っていない。ネットで品番打ち込んで探しても出てこなかったりするので、電気街に行くのが手っ取り早い。深水埗(シャムスイポー)だと、鴨寮街(Apliu Street)にお互い近い距離で数軒あった。

買いに行く時はサイズ(管の直径や全体の大きさとか)、コネクション方法と、電球にある表示の写真を取っておかないと、めっちゃ広東語で質問攻めにあうので注意だ!小さかったら現物持ち込みが一番話が早い。

ただ、俺はラッキーなことに電気街に歩いていけるとこに住んでいるので良かったが、そうじゃない人はどこで買っているのだろうか。


以上、アマゾン使えばええやんけと思う人もいると思うのだが、香港はamazon香港がない。

米amazonを使うか、hktvmallというオンラインショッピングサイト、はたまたprice.com.hkというやつで在庫や値段の確認ができるっちゃできるのだが、そもそも俺は広東語を打ち込めないので検索結果の精度が悪く(英語でも受け付けるが、なんかイマイチ)、もう行ったほうが早いやんけというのがシバシバである。

しかしじゃあ、どこに行けばええねんというループが半年以上続いたんだぞ!


■お前の存在をアピールしろ!さもなくば死だ!

自分のアピールが重要なのは、まずひとつ目はバスである。あれは手を挙げないと止まってくれないということを知らず、3本くらい通過されてから気づいた。

次に行列が長い飯屋である。これは店に着いたら、その行列なんぞ目にくれず、店員を捕まえて「一位呀!(やっわいあー!一人のこと)」と言い、番号を書いた手書きの札を貰わねばならない。

これを知らかなったので、俺の後に来た大集団が次々と番号札をもらって行き、30分くらい損したことがあった。もちろんこの場では広東語の数字の理解が必要だ!

というわけで、香港では「いつだって俺はここにいる!」とアピールしなければ行きていけない過酷な地なのである。

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でも(頑張って広東語を話そうとする)外国人にはめっちゃ優しい国、それが香港。いい国である。


次回は精神編である。

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