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バンタンが祝う彼女のセンイル

※Twitter(2021.3.19)から文字起こししました

誕生日前日 22:00

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唐突に、予告なしにスーパーの袋を抱えてやってきた。

「わかめスープ作るぞ!」
「え?なんで突然こんな夜中に?」
「誕生日おめでとう。すまん、明日は忙しい」

夜中に二人でわかめスープをすすりながらプレゼントがないことを責めると、

「やー!このスープに愛がこもってるだろ!」
と言って、その辺のメモに「祝誕!」と書き殴る。

「1日お前の言うことをなんでも聞くチケットだ。有効期限は1年!」
と笑う。

早速今使っても良いですか?

誕生日当日 1:00

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深夜にインターホンが鳴り、飛び起きてドアを開けると頭にリボンをつけた彼が。怒ろうと思ったけど吹き出してしまう。

「誕生日おめでと〜!プレゼントのお届けだよ〜」
と恥ずかしそうに言う。

「プレゼントはそのシャンパンなの?」との問いに美しくターンを決めて「僕です!」と笑う。

「じゃあ何か踊って!」って言ったら「血汗涙」を目の前で華麗に踊ってくれた。

今夜は二人で酒盛り…?顔浮腫んじゃうよ!

誕生日当日 9:00

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大きな袋を両手に3つ携えやってきた。

何処に来てくの?っていうドレスに靴にバッグ。

「すっごい可愛いけど私こんなの着る機会ないよ」
と言うと、待ってましたとばかりにニヤッと笑い、
「今度これを来てく場所に連れてくんだよ!」
と私のほっぺをツンツン。

「でももう行かなきゃいけないんだ…ごめんね」

申し訳なさそうな顔が可愛すぎて許しちゃう。

「今日はこのバッグ持って出かけておいで」

別れてからドレスと靴を試着してみる。誂えたみたいにぴったり。頭のてっぺんから足の爪先まで彼に把握されてる幸せ。うふふ。

誕生日当日 15:00

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ほぼ予定通りの時間にインターホンが鳴る。

ドアを開けるとケーキを持った真顔の彼。
「1時間だけなんだ、ごめんな」

ハミングでハッピーバースデーを歌ってくれる。
ケーキを切り分け食べていると、ぶっきらぼうにテーブルに小さな箱を置いた。
顎で「開けてみろ」の合図。

中には指輪。

「えっ?これ何?」って驚いたら「しまった!」な表情。すごい恥ずかしそう。

「いや、変な意味じゃない、いや、それでも良い…良くないか?ただいつも着けられると思ったから」

私のために指輪を買った彼が愛しすぎる。

誕生日当日 22:00

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今日は昼に来ると連絡があったのに、結局来たのはこんな時間。
「ごめん…」と元気がない。

昼前に買ったらしいケーキは箱をひっくり返したみたいな惨状。
凹む彼に大丈夫だよと言うと、いたずらっぽく数字のロウソクを取り出した。

「え?なんでわざわざ私の年齢を?やだぁ」

全部予定通りいかなくてさらに凹んでる彼。

「これ、プレゼント…僕の撮った写真…」
「写真を選んで自分でアルバムに入れてくれたの?」

嬉しくてハグしたら今日一番の可愛い笑顔。

誕生日当日 23:55

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誕生日なのに何の連絡もしてこない彼。
嫌な予感。だからメールした。
《何か忘れてない?》

ちょっとしてから返事が来た。
《ごめん!今行く!》

ドアを開けたら許しての愛嬌顔にハートのカード。
「マジでごめん。許してください」
そう言ってカードを渡された。裏には愛の詩が。

「タクシーで書いたんだけど、読めるかな」
内容が素敵すぎて全部許してあげた。

「なんでもお申し付けください、お姫様」
って腕を広げる彼。どうせだから図に乗ろう。

誕生日の2日後

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誕生日当日に一度おめでとうの電話があり、
「明後日行くから駐車場空けといて」と。

2日後、彼は大きなバンに乗ってやって来た。

「どしたの?この車、何?」
「へへ。おっきい贈り物だよ」
とドヤ顔。

出てきたのは大きなキャンバス?

二人掛かりで部屋に運んで包みを剥がすと、とってもキレイで素敵な絵。私もいる。

「ねえ、こんな大きな絵、何処に飾るの?」と聞くと、顔をくしゃくしゃにして大笑い。

ありがとう。

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