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『関心領域』を観たよ。

無人島に先生役と生徒役に分けた複数人を入れて、一定期間閉じ込めると、先生役の人達は自分を偉い、強いと思い込んで暴力を働くようになる。生徒役の人達は弱い、暴力を受けても仕方ないと思うようになる。
そんな実験があったという話を、学生のときに友達が教えてくれたことがあった。うろ覚えだけど。

劇中で男の子が言う「もうするなよ」は、ユダヤ人が生き残るために「もうするなよ」だと思っていたけど、同じことをしたらお前たちもこうするからなの「もうするなよ」かもしれない、と思ったらとても怖い。どっちかな。
このときだけ、塀の内側の声に字幕が入るんだよな。

基本的に塀の内側の音はずっとしているけど、怒号も悲鳴も字幕が入らないから、観ている人の関心領域外になったらBGM化する。
言葉が分かる人が観たら、どうなるんだろう。
銃声も焼却炉の煙も、そう。

途中で何回か入る、2回続けて鳴る不安になる音がある。
最後に主人公が吐くのも2回「おえー」ってなるから、その音を機械で作った感じかなぁと思った。
あと焼却炉の稼働音とも合わさってる感じ。

妻が「ここは理想の住処よ!」と、主人公に単身赴任しろとキレる。
隣で大量虐殺をしていて、怒号と銃声と悲鳴が聞こえ続ける場所で、我慢して住処を整えてきたのに悔しい!という怒りだと思ったのだけど、本当に楽園だと思っていたらしい。
ユダヤ人から奪った毛皮のコートとかが簡単に手に入るしな。

仕事部屋でユダヤ人の女の子を抱いて、家に帰る主人公が手洗い場で男性器だけ洗って帰るのは、それで隠せると思うなよと。

予備知識がないとただのホームビデオというレビューを見たけど、そんなことはないと思うんだよな。
散りばめられてるもの全部を拾うことはできないけど。
すごく難しい映画ではある。
内容が、ではなくて、観て思ったことを言葉にするのが。

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