不思議と好き

詩とか物語とか映画、演劇とかの作品で
「不思議と好き」、
「よく分からないけど好き」なものは、
あなたにとってどんな存在ですか。

「不思議と好き」には、
素敵なものが隠れていると思うのです。

わたしの初めての「不思議と好き」は
少年王者舘の『思い出し未来』という作品。
初めて天野天街さんの劇をみた私は、
分からないけど笑えるあのシーンの空間に
一瞬溶けてしまった。
訳のわからなさに身を任せて笑う心地よさ。
或いははじめてのスズナリに酔っていたのかも。

そういう田舎娘の背伸び心は置いておいて、
兎にも角にも、
ただ観た面白かったー以上の体験をした。

DVDを買った。
腹も減って、食べる気力もない
ベタつく夏の日や
寒くて動く気力もない冬の日に
ふと思い立っては繰り返し見た。

DVDで作品を見た1回目。
直接みて不思議と笑ったシーンは
全然笑えなくて。
直接見るのとDVDの違いを感じた。

そこから、観客ではなく記録者的視点から
恨めしく、未練がましく繰り返し劇を
見たのだった。

不思議と好きの謎を解明したかった。

その結果、私の把握した劇の大枠のテーマは、

自分のフコウな未来を知った少年が、
ゼツボウを踏み越え
未来を、予想された未来に噛み付く。

ということだと感じた。

私は主人公の姿に勇気づけられるのだ。
だからきっと、好きなのだ。

初めて見た時
言葉で明確に分からなくとも
感じとることは出来るんだと感動した。

というか、骨の髄まで生きたくないと思ってるかと思ったが、そうでもないらしい。
それも面白い。
私は作品に勇気づけられ、やっぱり生きて行きたいのか。

「不思議と好き」の本当の仕組みを考えた。

ある作品の中に
作者も意図せず
あるいは意図して
お茶目に飾られたり、
照れ隠しの演出の奥に
溢れている素敵なものが
スウッと一筋まぐれで外に触手をのばし
あなたの心に触れた。

それにあなたがふと振り返って
その残った感触を手でなぞりながら
???て思う。

それで、「不思議と好き」に出会うんだと思うんです。

探して欲しいような、隠れていたいような。
そんなふうに作品の中であなたを待ってる。
不思議と好きには、あなたに会いたい宝物が眠ってる。と思うんです。

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