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「サイドローディング」を拒む、Appleのゆくえ【Off Topic Ep152】

アメリカを中心に最新テクノロジーやスタートアップビジネス情報を広く深堀りしながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップしたものをお届けする。

今回は「#152 Appleの次のThe Next Big Thingsは何か?パート2」から、Appleのサービス事業を支えるApp Storeについて。App Storeの手数料やレギュレーションや賛否は、プラットフォームと開発者にあいだに健全な関係を保つことの難しさを物語っている。欧州では巨大テック企業を対象にした「デジタル市場法(DMA:Digital Markets Act)」も発効されるなか、Appleはどのような動きをしていくのか。

Appleの鍵となるサービス事業

Appleの事業は、年間売り上げの半分を占めるiPhoneをベースにしたアップグレードビジネスによって成り立っており、同製品の大幅な成長には限度がある。インドでの売り上げ成長率上昇というポジティブな要素はあれど、Androidが圧倒的に優位な同国はヘビーな市場領域であり、場合によってはiPhoneの価格を下げるという選択肢もありながらも劇的な値下げというのは可能性としては低いだろう。

iPhoneの売り上げが減少した2016年、Apple CEOのティム・クックが「Appleはハードウェアの会社ではない」と言い切って以降、彼がより強調するのはサービス事業である。Appleのサービス事業とはApp StoreやiCloudのストレージサービス、Apple Music、AppleCare、Apple TV+、AppleFitness、AppleNews、AppleArcadeなどを指し、その売り上げには、例えばデフォルトの検索エンジンとなるためにGoogleが支払うフィーや広告売り上げも含まれている。直近の決算発表をみると、iCloud有料版やApple Music、AppleTV+などのサブスリプションをふくめたサービス事業に課金をしているユーザーは約9.3億人にのぼる。現在iPhoneのアクティブデバイスがグローバル全体で20億台にのぼるなかで、iPadやAirPodsといったハードのエコシステムを強固にしていくと同時に、そのエコシステムのなかでサービスの売り上げをどれだけ伸ばしていくかが短期的には大きな鍵となる。

Monday Note

2022年Q4(7月〜9月)のサービス事業の売上は約190億ドル(約2.5兆円)で直近の四半期では約200億ドル(2.7兆円)。2022年の年間売上は約790億ドル(約10兆円)にのぼり、全体の売上(約3940億ドル/約53兆円)の約20%を占める大きな事業の柱になりはじめている。そのサービス事業の売り上げで大きな割合を占めるとされているのが、App Storeで公開されているサードパーティーアプリの売り上げからの手数料(15〜30%程度だとされている)である。

Apple Insider

「デジタル市場法」はサイドローディングを可能にする?

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