Yo La Tengo – This Stupid World

2023年に発表されたYo La Tengoの17枚目のアルバム。
夜と朝の境目の薄明かりの中で鳴っているかのような、独自のバンドサウンドが復活。
90年代から00年代半ばのヨ・ラ・テンゴが帰ってきたような印象を受ける。一方で、これまでの枠を越えた新鮮味は無い。それでも、長いキャリアを支えてきたシンプルで贅肉のない音の素晴らしさを楽しめる。

アイラのボーカルは、さらに深みを増しており、ギターは静けさと轟音の間で美しく鳴り響いている。
アルバムの最後に収録されている「Miles Away」では、ジョージアの揺らめくようなボーカルが印象的だ。この曲は、アルバムのハイライトのひとつ。ライブでも盛り上がりそうだ。

これまでの枠を越える音は鳴っていないが、大好きなヨ・ラ・テンゴのいつものフォーミュラでの手応えのある新作、それだけで最高だ。