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Rod Stewart – Vagabond Heart

91年発表。

充実した70年代を過ごしたロッドも、80年代は人気はさておき作品の質をあからさまに下げていた。前作「out of order」も聴き直す価値が未だにほとんど見いだせないアルバムで、半ば「オワコン」と化していた中、トレバー・ホーン等の力を借りてロッドが再度意地とアーティストパワーを見せつけたのがこの作品だ。

冒頭の「リズム・オブ・マイ・ハート」は得意のアイリッシュで、この曲の出来の良さがアルバムを象徴している。自信満々のロッドの歌声が素晴らしい。

3曲目の「Broken arrow」はザ・バンドのロビー・ロバートソンの作品。レニー・ワロンカーがプロデュースで参加。音はしょぼいが雰囲気は良い。
80年代的なロックサウンドの4曲目「it takes two」はティナ・ターナーとのデュエットでベタなビートとシンセが楽しい。
6曲目「you are everything」はスタイリスティックスで有名なナイトショーソング。90年代以降の活動にも繋がるカバー。過剰な歌いっぷりが逆に最高だ。

このアルバムで一番の出来が7曲目「the motown song」。テンプテーションズをバックにご機嫌な歌を聴かせてくれる。アニメでロッドらが歌うMV(ヴァニラ・アイス、マドンナ、シニード・オコナーっぽいキャラも出演)も最高でUK、ビルボードで共に10位までチャートを昇った。
10曲目の「have i told you lately」はヴァン・モリソンのカバーで、後にアンプラグドでライブバージョンがヒットし、ロッドの代表曲の一つになった。ロッドのセンスの良さが久々に発揮された素晴らしいカバーだ。

89年発表のシングル「down town train」もバージョンによっては収録されている。トム・ウェイツの素晴らしいカバーで、ジェフ・ベックのギターも聴ける。全米3位の大ヒットとなった。

洋楽を聞き始めた頃の作品で非常に思い入れがある。サウンドは少し古臭いが、作品に込められたロッドのパワーは未だに有効な傑作だと思う。

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