アチェルビスか?アチャルビスか?

こういうのは書いておかないと消えてしまう話だな、と感じたので書いておきます。ご存じの方に、「何をわかりきったこと」と嗤われるのは承知の上です。


結論から言えば、これは発音表記の問題です。

(後述しますが、それ以外に慣習やメンツ?が関わることもあります。)


つまり、「背広とスーツ」(日本語表記と英語表記)の関係ではなく、

ギアとギヤ
リタイアとリタイヤ
チェーンとチエイン
ヴィレッジとビレッジ
カラメルとキャラメル
ヴァイオリンとバイオリン

etc,etc・・・・・・・・という関係です。


それにしても「チャ(ア行)」と「チェ(エ行)」が同時に使われるのはなぜなんでしょうね?
チャなのかチェなのか、ここは実際にイタリア語(ACERBIS発祥の地)で聞いてみましょう。

https://www.benricho.org/Tips/web-speech-synthesis-02/


どうです?
「チャ」と「チェ」、どちらに聞こえましたか?

正直、私にはどちらとも聞こえました。

昔の雑誌は、商品紹介のページで「アチャルビス」も「アチェルビス」も使っていた気がします。
こうた氏が仰る「それなりに年配の方」がアチャルビスと言いがちなのは、そういう理由もありそうです。

もしかしたら、当時の輸入元(大阪の岡崎商店でした)が「アチャルビス」を公式にしていたのかもしれません。
・・・・が、そこらへんは確認しきれなかったので、「かもしれません」と書いておきます。岡崎商店がACERBISから手を引いたのは、もう20年くらい前のはずですし。


実際、私自身も「アチャルビス」なのか「アチェルビス」なのか、どちらが正しいのか意識したことがありませんでした。
こうた氏のポストを見かけて、「そういえばどちらだろう?」と記憶をたどったくらいです。
(こうたさん、機会をいただきありがとうございます)


今の公式はアチェルビスを使っています。

「アチェルビスは、イタリア・ロンバルディア州ベルガモ県アルビーノ で1973年にフランコ・アチェルビスによって誕生しました。以来、デザイン先進国イタリアの創造的なデザインをいかんなく発揮し、新しい機能を備えた製品を生み出し、オフロードシーンをリードしつづけています。ラフ&ロードはその優れた商品を日本のディストリビューターとして皆さまのもとにお届けします。」


「当・MC-Japanは、イタリア・ACERBIS(アチェルビス)社製モーターサイクル用品を中心に、オフロードモーターサイクルスポーツにかかわるウエア、パーツなどを取り扱っております、輸入元直販スタイルのインターネットショップです。」


(とても余談ですが、岡崎商店からの系譜がMC-Japanで、その後あらたに輸入元になったのがラフ&ロードです。一つのブランドに輸入元が複数存在するのはけっこうあるみたいで、こういうのは、きっとメーカーとの契約次第ですね。)

で、話を戻しまして。↓


だから若い世代は当然「アチェルビス」と呼ぶし、「アチャルビス」に違和感を禁じ得ないのでしょう。
(私はどちらも同じように聞き流し、読み流してしまう自信があります。古い世代なのでね。すみません。)



余談ながら、ACERBISというブランドは、ヨーロッパではこういうポジションです。
こういう「あまねくイベントを応援する存在」が日本にもあるといいのになあ、とは思います。ですが、こういうのは経済格差がないと実現が難しいんです。


「ライダーたちは、フランコのモータースポーツに注ぐ愛情を良く知っているし、信頼もしている。ビジネスで成功をおさめても、自ら、一人のエンデューロライダーとしてみんなの仲間であり続ける。そして、充分に恩返しを続けてもいる。ライダーたちは、エンデューロイベントで、"ACERBIS"のロゴマークを見ないことがない。それは、すなわちフランコがあまねくイベントを通じてライダーを応援していることの証明だ。」



ヨーロッパは南米との交流が濃い(移民が多く渡りました。『母を訪ねて三千里』なんか、まさにそういうお話でした。)ため、こんなラリーも主催してたんですよ、フランコさんは。

※このブログで最後に紹介している動画はインカラリーの雰囲気をよく伝えてくれています。ぜひ最後まで読んでください。



そして、唐突に『母を訪ねて三千里』と書いてしまったので、ご存じない方のために説明も置いておきます。



さて、ここでACERBISから離れます。

先に書いた、(後述しますが、それ以外に慣習やメンツ?が関わることもあります。)という部分へ移行します。


今はカタログもサービスマニュアルもペーパーレスが当たり前になっていますが、昔は何でも紙ベースでした。
まだ免許も取れない子供も、車やバイクのカタログを集めて宝物にしていた時代があったんです。あれは、「乗れない層も含めたモーターファン」を生むベースになっていたと思いますね。世の中で「無駄」と判断される部分は、往々にして「次世代に引き継がれる余力」になるんです。


おっと、話がずれてしまうので、戻しましょう。

そうした印刷物を見ていると、メーカーによって単語の表記が異なっていました。たとえばヤマハとホンダでは同じ部品でも表記が異なります。
前述の例、ギアとギヤなどが好例です。なんなら「ー」がつくこともあります。「ギヤー」とか。

ギアだろうがギヤだろうが通じるんですが、微妙に異なる。それはメーカー内の慣習だったり、「あっちがこういう使い方ならこちらはこういう表記で。あちらにはおもねらないぞ」という意地みたいなものを感じたりもしました。(個人の感想です。)

実際のところは、その時代のメーカー勤務者(カタログやマニュアル制作関係者)に聞いてみないとわかりませんけどね。

まあ、他にもいくつかこういう単語があります。

最近は業務提携も増えて差異は小さくなっているでしょうが、昔のものをひっくり返すと、結構出てきますね。
あなたもお手元のものを見てみると、面白い発見があるかもしれませんよ?


というわけで。

単語の使い方を見ると、その人の世代がわかるだけでなく、その人がどのメーカーファンなのか?までわかるかもしれない・・・というお話でした。









というわけで、続編はこちらです。




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