【結婚後の男の魅力】円満だからこそ野心的でなくなった男性の悩みを考えてみた
先日、ソロ起業家(会社を登記してるけど基本的に一人で運営してる人をこんな風に呼んでます)の友人と話していたときのこと。
独立して7年。ビジネスもそこそこうまくいってるし、何年か前にかわいらしい奥さまと結婚して、公私ともに順風満帆に見える彼なのだけど、実は密かに悩んでることがあるという。
何かというと…
結婚して、子どもがうまれて、家族のことを愛しく思うようになるのと反比例するように自分の中の<男>が死んでいった気がする…(遠い目)ということらしい。
なんと。
脱サラして、収入も自由になる時間も大幅に増え、いい仲間と楽しくやってそうな彼にも、そんな人知れないモヤモヤがあったとは。
本当に、人の幸せ(悩み)というのは外側からは判断しきらないものだ。
家族愛が深まるほど成功から遠ざかってるような焦燥感
話を聞いてみると、こうだ。
「独立直後は、『30歳になる前に、前職の時のゲス上司の年収を超えてやる!』という思いでガムシャラにやってきたけど、最近はあの時の熱量がないんです。
それに、子どもはかわいいんですけど、"可愛がってる自分" はなぜかダサいと思ってしまう。
妻は常に応援してくれるし、おかげさまで夫婦仲はとてもいいんですけど…なんとなく経営者で家庭もうまくいってる人ってあまり突き抜けてるイメージがなくて。
『成功』と『良好な結婚生活』は両立しないのかと思うと、(夫婦関係が良好な)自分は経営者としてイケてないんじゃないかって思っちゃうんですよ。」
ふんふん、なるほどー。
面白い。
たしかに、メディアは著名人の不倫や離婚をこぞって報道するし、社会的成功を収めた人ほどパートナーシップはイマイチな印象を受けなくはない。
彼の話を聞いていて、わたしの頭に浮かんできたのは、「進化心理学」のエッセンスだ。
それもこれも、努力はすべて子孫繁栄のため…!
人間を生物学的に見ると、オスが社会的立場を得るために努力することや、世間に対して自分の能力をアピール(才能を発揮)することは、突き詰めるとすべて繁殖に成功するためだと考えられる。
メスの目に止まり、生殖行為をし、自分の遺伝子を世に残すためだ。
となると。
メスに選ばれ子孫を残せた後は、場合によっては、これまでのように他のオスと闘い続けて負傷や死のリスクを負うよりも(自分が死ねば妻子を危険に晒し、遺伝子が淘汰されてしまう確率を上げることになる)、生まれた子どもを保護し育てることにリソースを割く方が「遺伝子を後世に残す」という目的に適うことになる。
そう考えると、例え自ら出産しないオスであっても、生物としての強制力により、自分の子どもがうまれると、ホルモンやらなんやらの心身的変化が自覚できるレベルで起こってもおかしくはないと思う。
だって明らかに、
メスの気を引くために、他のオスよりとにかく目立つ!強くなる!モード
と
子どもを育むために食物をとり、敵から家族を守る!庇護する!モード
は、なんかもう、別人格レベルで心理状態に差があるでしょうね、と想像できるもの。
コントロール不可能な自分…自然現象だと思って諦める
ただ、自分の意思に反して心と体が勝手に方向付けされてしまう感覚は、非常に不安だし、怖いと思う。
これって、毎月の生理サイクルに影響を受けやすい女性なら、理解しやすいんじゃないだろうか。
(女性の中にも月のサイクルを感じやすい人と感じにくい人はいて、影響と自覚のレベルは千差万別だけど)
生理前や生理中は、したくもないのにイライラするし、自信が無くなったり、理由なく涙することもある。
逆に排卵期には、エロい気分になったり、自分自身にとても満足した気分になることもあるからだ。
ホルモンがわたしたちに与える影響は甚大で…しかも、あらがえない。。
ただ、それがなぜ起きるのか知っていれば少なくとも不安はない。
「訳もわからず浮き沈みするジブン…」と感じる時は、無力感や不安定な自分に嫌気が差すけど、「これは自然現象だ」と説明できれば、心は軽くなる。
ただ受け入れて、そんな自分と仲良く付き合っていけるように調整すればいい。(いい意味で諦めがつく)
オスとしての基本欲求から解放され、本当の自由を手に入れた
そんなわけで、友人が結婚し、子どもが誕生したことを境に独身イケイケだった自分と「ちがう自分」を感じるのは、別に悪いことじゃないんじゃないか、と思った。
ただ、「結婚し家庭を持っても、独身の時のように自分に全力投球できないやつは成功できない」みたいなイメージを作り、そんな概念と自分を比較し、残念な気分になってしまっただけなのだ。
冷静に考えれば、社会的に成功しつつ家族関係も良好な人はたくさんいるだろう。
生殖のために「他のオスと比べて優秀な自分」をアピールする必要はなくなり、友人自身が(本能の部分に引っ張られず)心から実現したいと思うことにエネルギーを割くフェーズに入ったと思えばいい。
幸いわたしの友人は、この話に非常に納得したらしく「ギラギラしてないジブン」と「成功者としてイケてるジブン」を分けて考えられるようになったようで、とても清々しい顔をしていた。
日々元気に過ごせてるならいいけど、もしあなたが友人と同じように「自分の中の男が死んでしまったのでは…!?」と不安に思っているなら、そんな角度で自分を捉えてみるといいかもしれない。
アーティストがその感性を磨くがごとく、自分の輪郭を顕に生きることに情熱かけてます。共に自分を生きようぞ