海外で所持金が尽きたときの話@コロンボ
海外旅行する人の大勢が直面する問題
「旅行最終日の現地通貨の残りをいかにして使い切るか」
世界各地でキャッシュレス決済は広がっている。らしい。
偽札問題が深刻な中国は現金決済がもはやレアで
ほぼキャッシュレスで支払いができると聞いた。
とはいえ万が一の非常時には現金無双だ。
そして異国の旅先で不安分子は極力排除したいところだ。
結果として財布の中には現地通貨を忍ばせておくことになる。
そして旅行の最終日にはその現地通貨が余ることになる。
それをどうやって消費するか↓
1.日本円やUSドルなどに再両替する
日本に帰国する直前の現地空港で、
その国の通貨を日本円に再両替するのだが、
国によっては日本円への両替ができないため、
そのときは米ドルやユーロといった主要通貨に再両替する。
空港の両替所は黙っていても客が集まってくるために
だいたい極悪両替レートでこちらとしては大損。
おまけに両替手数料が別途加算されたりする場合もあり。
日本に帰ってきて再両替することも可能だが、
その場合は受け付けてくれない通貨もあるので要確認。
めったに海外に行かない人はこれでいいのかもしれない。
お勧めはしないが。
2.空港や機内での買い物で使い切る
帰国前の空港での買い物や飲食、
帰りの飛行機内での機内販売で使い切る。
ここでちょっと裏技的なことを紹介。
例えば、買いたい物が20ポンドだったとする。
しかし手元には15ポンドしかない状況だとする。
そこで、お店の人に相談するのだ。
「15ポンドは現金で払って、残額を
クレジットカードで払うことはできますか?」
先進国では割と快諾してくれる印象あり。
発展途上国では「寝言は寝てから言えYO」
みたいな顔をされて玉砕する可能性大。
3.空港までの交通費を残して事前に使い切る
明朗会計のスーパーマーケットなどで
ばら撒き土産を買いつつ現地通貨をきれいに使い切る。
その後で空港行きの電車なりバスなりに乗ればOK。
OKのはずだった。
スリランカのコロンボでの話。
当時、スリランカ航空の成田直行便がなかったと思う。
スリランカから日本に戻るためには、
バンコク、クアラルンプール、シンガポールといった
東南アジアの諸都市を経由することが多く、
それらの便はだいたい夜中の出発だった。
コロンボのホテルをチェックアウトしてから、
飛行機のチェックインまでの12時間、何をする問題。
私はバンバラピティヤにあるショッピングモール
マジェスティックシティをぶらぶらし、
その後はアーユルヴェーダマッサージの店に行き
体中オイルまみれになった。
その後は、フォート駅まで移動し、
そこから空港行きのバスに乗るという算段だった。
マッサージの予約時に代金も聞いておいたので、
予定通りの出費となり、万事快調だった。
フォート駅まではトゥクトゥクで移動。
値段は交渉したのだが(メーターもある)、
相場も知っていたこともあり、
これまた予定通りの出費で完璧。
フォート駅に着いた段階で、私の財布の中は
50ルピーしかなかった。当時のレートで50円。
これは空港まで行くバスの運賃だ。
フォート駅近くは多数のバスでごった返している。
人と屋台と車の喧騒のごちゃまぜ。ルール無用。
インスタ映えとか言っているそこらの女子が
泣いて逃げ出すレベルのカオスっぷりだ。
バスは定時に出発するのではない。
客がある程度集まってからの出発だ。
だから車掌はバスの車体から身を乗り出して
行先を連呼して客を呼び込む。
私は空港行きのバスを
混沌の中から探し出さなければならない。
が、それなりに見つかるものだ。
東洋人が大きなカバンを持っていれば、
そりゃ空港に行くだろうと予想されるからだ。
空港行きのバスの車掌が私を見つけて
行先を連呼する(エアポートとは言わず、
カトゥナヤカという地名で言うので注意)。
バスはもう停車しておらず、超徐行で進んでいる。
バスが完全に止まってからお立ちください、
という日本のルールは適用されない。
徐行のバスに走って追いついて飛び乗るのがスリランカ流。
私もいそいそとバスに近づき、車掌に
「カトゥナヤカ?」と行先の確認をする。
首を横に振って肯定の合図を送る車掌。
でたよ、あのインド系特有のYESの際の首の動き。
そして、そこで私は気づいた。
これエアコンバスだ。
スリランカのバスは大きく分けて2種類あって、
エアコンかノンエアコンかだ。
当然エアコンバスの方が高い。料金2倍。
当時、空港行きのエアコンバスだと運賃100ルピー。
財布には50ルピーしかない。
ATMを探してキャッシングしたとしても、
両替商を探して両替したとしても、
不足分50ルピー(50円)だけを手にすることは
まず無理だろう。結局現地通貨が余ってしまう。
ここはスリランカ。
相手はスリランカ人の車掌。
運転手は早く乗客を乗せて出発したくてしょうがない。
私は短期決戦に出た。
財布の中をがばっと車掌に見せ、
50ルピーしか入っていない状況を理解させた。
そして、OK?と言葉少なにたずねると。
車掌は首を車内の方へ振り、
「乗ってけYO」というジェスチャーを送ってきた。
車掌は目的地以外の単語を発さなかった。
それで私とのコミュニケーションを完結させた。
男だ。
私はたぶん、車掌の10倍ぐらい年収があると思うのだが
金がなくて帰国できない貧しい東洋人と思われたらしく、
結果的に半額の運賃でバスに乗せてもらうことができた。
スリランカは日本ほどの厳格なルールがないからこそ
私のように救われる人が出てくるのかもしれない。
ま、海外旅行の際には資金に余裕をもっておこうという話です。
私はこのバス割引強要事件を反省し、
以後余裕をもって現地通貨を使い切るように努め、
多少の残金は最後に募金することにしている。
空港にある募金箱の他に、機内で封筒を配って
募金を呼び掛ける航空会社もあるので積極的に利用中。
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