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海外でロストバゲージした話@タイ航空

Lost baggage 通称ロスバゲ。
飛行機の搭乗手続き時に預けた荷物が、
到着した後の空港で出てこない現象。

到着空港の荷物受取場では
ファーストクラスやビジネスクラス客、
マイレージ上級会員の荷物が優先されて出てくる。
その人たちの荷物には特別なタグが貼られている。

その後でエコノミー客の荷物が出てくる。
すべての乗客の荷物が出終わっても
自分の預けた荷物が出てこないときが
ロスバゲ確定の瞬間だ。恐ろしい。

以下、私のロスバゲ顛末記。

そのとき私は2枚の航空券を持っていた。

1.シェムリアップ→バンコク(バンコクエアウェイズ)
2.バンコク→クアラルンプール(タイ航空)

この2枚は同時に予約したものではなく、
全く別のタイミングで予約したものだ。
当初はバンコクに滞在する予定だったのだが
クアラルンプールに急ぎ向かうことになり、
バンコクで短時間の乗り継ぎ可能なタイ航空便を
後から買い足したのだ。

シェムリアップ空港でチェックインするときに、
地上係員にたずねた。

バンコクから先、クアラルンプール行きに乗り継ぎます。
これがその航空券です。タイ航空です。
荷物を預けたいのですが、この荷物をバンコクで受け取らず
クアラルンプールで受け取ることはできますか?

「問題ない」

との回答だったので、荷物を預けた。よかった。
バンコクエアウェイズは予定通りの時刻にバンコクに到着。
私はバンコクの空港では入国手続きに向かわず、
制限エリア内のトランジットカウンターに向かった。

トランジットカウンターでは、
タイ航空のクアラルンプール行きの航空券を見せて、
搭乗券を発券してもらう作業をしなくてはならない。

それも無事クリア。
タイ航空が予定通りクアラルンプール空港
(通称KLIA Kuala Lumpur International Airportの省略形)
に到着したのは夜11時すぎのことであった。

そして荷物が出てこなかったのだ。
なかなか荷物が出てこないとイライラしながら、
まさか誰かが間違って(または意図的に)
荷物を持って行ったのでは?と心配にもなる。

ロスバゲ時のリカバリープラン

1.ロスバゲ用カウンターに行き、ロスバゲを報告する

荷物受取場の隅っこのほうにロスバゲ用カウンターはある。
税関検査を抜ける前にある。
そこの係員にチェックイン時に渡された荷物の預かり証
(だいたい搭乗券の裏にシールで貼られるバーコードがあるやつ)
を見せ、荷物が出てこない不満をぶつける。

2.海外旅行保険の補償内容の再確認

荷物の遅延や紛失時に、とりあえず必需品を買うための
お金を出してくれる保険がある。
クレジットカードによっては自動付帯になっているものもある。
けっこう規定が細かいので、必ず事前確認。
例えば6時間以内に荷物が届いたら補償しないとか、
1日につき上限2万円までしか補償しないとか。

さて、私の場合。
KLIAでのロスバゲなので、カウンターで担当する係員は
マレーシア航空の上から下まで緑のスーツを着た
マレー兄だった。ネクタイも緑。色彩感覚おかしい。

マレー兄は私の荷物預かり証のバーコードを読み込み
PCをカタカタと動かして荷物を追跡。

「おまえの荷物、まだバンコクにあるYO」

荷物が見つかった。誰にも盗まれてなかった。
だから正確に言うとロストバゲージではなく、
ディレイドバゲージ delayed baggage扱いになる。
バンコクでタイ航空が荷物を積み込み忘れたらしい。

「今夜どこ泊まる?届けるYO」

PWTCのパンパシフィックホテル
(マレーシアってやたらこのように略すな。
この場合Putra World Trade Centreの省略形。
ちなみに今はSeri Pacific hotelに名称変更)

「今日はもうバンコクからの便が飛んでこない。
だから明日の午後にはホテルに届けるYO」

マレー兄はやることはきちんとやってくれたようだ。
とりあえず荷物の心配はない。
心配なのは終電だ。

KLIAは街から遠い。
遠い空港と言えば成田とKLと言うぐらい遠い。
(近い空港と言えば福岡と台北松山空港)

税関検査を小走りで抜け、空港の端っこにある
鉄道駅に向かう。時刻は12時。気分はシンデレラ。
もし鉄道がなかったら移動手段はタクシーになる。
夜中のタクシー、しかもまあまあ長距離。
いくらかかるのか予想するだけで体が震える。

終電は数分前だった模様。魔法が解けて無念。
鉄道だったら市内までRM35=当時1000円ほど。
結局不本意ながらタクシーに乗り、
ホテルまで3000円ぐらいだったような記憶。

PWTCパンパシフィックホテルは
ドアマンのマレーおじさんが
マレーの伝統衣装で出迎えてくれる一流ホテルだ。

ホテル前でタクシーを降りるときに、
マレーおじがドアを開けてくれる。
そしてマレーおじが私にたずねた。
「荷物はそれで全部?」

そう、全部の着替えは預けたカバンの中に入れていた。
海外のホテルだから浴衣や館内着など部屋にはないが、
ここは熱帯雨林気候だ。服がなくても凍死しない。
パンツは裏返しにしてはけばセーフ扱いだ。合法。

一番困ったのは、コンタクトレンズ。
当時はハードコンタクトレンズというものを装着していた。
寝る前にそれを外して専用の洗浄液で洗い
やはり専用の液の中に一晩中漬け込んで保存する必要がある。

コンタクトの洗浄液も保管ケースも預けたカバンの中だった。
そして夜中の1時。
どう考えてもドラッグストアが開いているとは思えない。
コンタクト関連製品の入手は絶望的だ。

結局コップの中にミネラルウォーターを注ぎ、
そこにコンタクトレンズを沈めて保管する荒業展開。
よい子は真似してはいけません。

私は当時海外保険には入っていなかったし、
クレジットカード付帯の保険は
手荷物遅延に関しての補償のないものだった。
保険でカバーできる人は、荷物が届くまでに
とりあえず購入した品物の領収書を保管しておくこと。

私のカバンは確か翌日午後4時ぐらいに部屋に到着した記憶。
航空会社からの補償等はなし。

令和の今はAirTagをカバンの中に入れておけば
現在地をスマホに知らせてくれる世の中になった。
ロスバゲ不安症の人はAirTagを一考してみても。


ま、大事なものは機内持ち込みの手荷物にしろという話です。
財布やパスポートはもちろん機内持ち込みだが、
まさかコンタクトレンズの洗浄保存液が必要だとは思わなかった。

この事件をきっかけに私はコンタクトレンズを
1日使い捨てタイプのものに変更した。洗浄保存液さようなら。
さらに数年後レーシック手術をして目からビームを出せるようになった。
進化のきっかけはタイ航空のロストバゲージである。




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