時速100kmの世界

「車なんて、軽でも普通車でも一緒じゃない」
君は言う。たしかにそうだ。
高速道路では制限のない区間は時速100kmで走行ができる。

ダイハツのミラでも、ベンツでも、カローラでも、ボルボでも、ポルシェでも、時速100kmは時速100kmなのだ。

ただ軽自動車の時速100kmは少し揺れる。
ベンツの時速100kmは安定している。
ランクルの時速100kmはトラックに乗っているみたいだ。
レクサスの時速100kmは余裕を感じる。
プリウスの時速100kmは静かでつまらない。
コルベットの時速100kmは猛々しい。

同じ時速100kmでも車体が変われば走りも変わる。
だから軽自動車でも、普通車でも、スポーツカーでも全部同じだなんて思わないでほしい。

時速100kmが時速100kmであることを私たちは十分理解をしている。

それはいくら君がパットを入れてもそれは見た目がCカップなだけで、中身はBカップだ、と同じくらいに。
いくら君がシリコンを入れたって、それは作られたDカップだ言う事と同じように。
私たちは時速100kmが時速100kmであることを理解しているし、AカップがAカップであることを理解している。
CカップがCカップなことも理解している。
そこに違いがあるとすれば乳首の形だったり、乳輪の色や大きさだったり…、つまりは…車体だ。

そう車体が違うだけだ。AカップはAカップだし。CカップはCカップだ。
ダイハツはダイハツだし、プリウスはプリウスだ。
時速100kmは時速100kmのままだ。
でも車体が違うんだ。

君のその茶色い蕾は、鮮やかな慎ましいピンク色に変わるだろうか。いや、変わらない。干しブドウは干しブドウのままだ。
でも、私のジャガーは格式高い深いグリーンから、鮮やかなパープルに変えられる。そういうことなんだ。

君のその慎ましいAカップは生意気なDカップに変わるだろうか。いや、変わらない。かすかな膨らみはただそこにあるだけだ。
でも、私のパジェロはリフトアップすれば車高が変わる。リフトダウンも可能だ。時速100kmの世界はいつまで経っても時速100kmのままだけど、車高は変えることができる。

時速100kmの世界は時速100kmのままだけれど、そこを走る車は様々だ。
だからどうか私たちに「車なんてどれも一緒じゃない」なんて言わないでほしい。時速100kmの世界が待っているのだから。

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