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遺跡の村でふと思ったこと

トルコ旅行中、たくさんの遺跡を見学した。観光地化しているところ、していないところ、さまざまだった。
その中で一つ、印象的だった場所がある。

このタイトル画像はアッソス遺跡のものだが、本当にここだったかどうか、記憶ははっきりしない。とにかく石畳の坂道が遺跡に向かって続いていて、その両側には家が並んでいた。

そして、暑い中、道端に露店を出している人たちがたくさんいた。
上るのに必死な私はどの店をのぞく余裕もなく、目の隅に入るものを眺める。

スカーフ、バッジ、ミニチュアの彫像、貝殻の装飾品、子供のおもちゃ…
小さいころ行った海水浴場の、海から駅までの道を思い出した。同じような品ぞろえの小さな店が並んでいた。

この時私が思ったのは「暑い中、大変だな」ということだけだった。観光客は多くない。大した売り上げもないだろう。露店の人たちはわずかな日陰にじっとしている。

だが、私の感じたことは大間違いかもしれない、と後で気がついた。

トルコでは日中は昼休みの時間で、店も閉まっているところがある。
暑い中、坂を上り下りするのは観光客ぐらいのものだ。
そしてトルコは食料自給率が100%を上回る国で、果樹やオリーブがあたり一面に茂っている。

広い果樹園で涼しい朝夕に本業の農作業をして、昼は日陰でのんびり過ごしがてら、世界中から遺跡を見に来る観光客を眺め、時には土産物を通じて彼らとやり取りをする。
そう考えたら、随分と優雅な暮らし方のように思えてきた。

どちらなのか、もちろん私にはわかりようがないけれど、自分の先入観で漠然と決めつけてしまわないようにしよう、と思ったのだった。

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