見出し画像

不動産投資を「株感覚」で始める方法~REITとは、ETFとは


投資に強い関心を持ちながら、そして実際に投資に着手していながら、しかし不動産投資になると尻込みしてしまう人がいます。

数千万円で不動産を買い、それを誰かに貸して賃料を得る不動産投資は確かにハードルが高いかもしれませんが、株式を購入する感覚で行える不動産投資があります。

それはREIT(リート)です。


REITならローリスク・ローリターンの投資が可能なので、不動産投資を学ぶのに適していると思います。

またこの記事ではREITと関係が深いETF(イーティエフ)についても解説します。


REITとETFの基本


REITとETFがどのような不動産投資なのかを紹介する前に、この2つの基本を押さえておきましょう。次のように定義することができます。


■REITとは

不動産投資信託といい、不動産投資と投信の性格をあわせもった投資商品です。REITへの投資者は、不動産の賃貸料収入や売買益の一部を分配金として得ることが期待できます。またREITを売買することで利益を得ることも可能です。

リスクには賃貸料収入の減少や不動産価格の下落による元本割れがあります。


■ETFとは

上場投資信託といい、特定の指数の動きに連動する投信です。特定の指数には、日経平均株価や東証株価指数などがあり、そのうちの1つに東証REIT指数もあります。

したがってREITはETFの一種ということができます。


これらの基本を押さえたうえで、REITとETFにわけてさらに詳しく解説していきます。


REITとは、J-REITとは


REITには国内版と海外版があり、国内版REITのことをJ-REITと呼びます。


REITで儲けが出る仕組み


REITの投資者は、つまりREITを購入する個人投資家は、不動産を売買したり、不動産を貸したりするのではありません。REITの投資者は、REITという投資信託を売買したり、分配金を得たりして利益を得ます。

しかし不動産投資である以上、誰かが不動産を売買したり、不動産を貸したりしているはずです。


その「誰か」とは不動産投資法人や資産運用会社、不動産管理会社などです。なお不動産投資法人のことをREITと呼ぶこともあります。

不動産投資法人は投資家から資金を集め、不動産を取得・運営します。資産運用会社は購入する不動産を選んだり、売却を決定したりします。不動産管理会社は不動産の管理を行い賃料を請求します。


上記の「投資家」がREITの投資者、つまり個人投資家になります。

REITの投資者が得る利益は、不動産の賃貸料収入や不動産の売買益が原資になります。これが分配金です。分配金は株式投資の配当金に相当するものです。

またREITはそのときどきで価格が変動するので、REITが安いときに購入し、値上がりしたときに売却すれば、その差額がREITの投資者の利益になります。


REITの投資対象はあらゆる不動産


REITの投資対象はあらゆる不動産です。例えば、オフィスビル、商業施設、マンションなどがそれに該当します。


J-REITは2001年に誕生した


日本版REITであるJ-REITは2001年に誕生した、比較的新しい投資商品です。現在、約60のJ-REITがあります。


J-REITに投資する方法とその魅力


J-REITに投資する方法とその魅力を紹介します。


売買方法は株と同じ


J-REITは東京証券取引所などに上場しています。個人投資家がJ-REITを購入するには(J-REITの投資者になるには)、証券会社に口座を開き、J-REITを選定して購入します。

J-REITは取引時間内であればいつでも時価で売買することができます。例えば、平日の午前10時にあるJ-REITを購入し、その日の午後2時にそれを売却することもできます。この取引では分配金を得ることはできませんが、値上がりしていれば売却益を得ることができます。

これは株式の売買とまったく同じです。

また、年2回、分配金がJ-REIT投資者に分配されます。これも株式投資と同じです。


魅力1:一般的に株より利回りも安定性も高いといわれている


J-REITは配当可能利益の90%超を分配しなければならないルールになっているので、利益から内部留保などを差し引いてから配当する株式より、利回りが高くなる可能性があります。

また、不動産の賃貸料収入は安定しているので、分配金の分配も安定していると考えることができます。

ただこの考え方はあくまで一般的なものであり、リスクもあります。


魅力2:少額かつ簡便に不動産投資ができる


自身で不動産を購入し、それを貸し出し、賃貸料収入を得るタイプの不動産投資は、多額の購入資金を確保しなければなりませんし、建物をつくらなければなりませんし、不動産の利用者を集めなければなりませんし、不動産を管理しなければなりませんし、賃貸料を徴収しなければなりません。

これには多額の資金が必要で、運営に手間がかかります。


一方、J-REITなら株式を買うようにJ-REITを買うことができます。また、数万円から始めることができます。

それでいてJ-REITの価格は不動産市場の動向に左右されるので、個人投資家は不動産投資について学ぶことができます。

もし将来、賃貸マンションを1棟購入して居室を貸し出す不動産投資に乗り出したいと考えているなら、J-REIT投資はよい「練習」になると思います。


魅力3:分散投資になる


不動産価格や不動産の賃貸料はさまざまな要因で変動します。そしてJ-REITの変動要因は、株式や為替や債券の変動要因とは異なるものです。

つまり、J-REITの値動きは、株式の値動きとも為替の値動とも債券の値動きとも違う動き方をします。したがって、株式や為替や債券に投資している人がJ-REIT投資を始めると、分散投資効果を得ることができます。


分散投資とは、種類が異なる投資商品に投資することであり、これによりリスク分散という効果を得ることができます。

分散投資をしておけば、例えば株式の価格が下落して含み損を抱えたときでも、J-REITの価格が上昇して含み益が増えるかもしれません。


REITのリスク


REITも投資なのでリスクがあります。


先ほど、REITの分配金の利回りのほうが株式の配当金の利回りより高くなる可能性がある、と説明しましたが、その例外は十分考えられます。

株式の配当金は企業の業績などによって決まるので、企業業績が急拡大すれば株式の配当金の利回りがREITのそれを上回ることも起こりえます。


また、不動産投資法人などが不動産投資に失敗すると分配金が出ないこともありますし、購入したJ-REITの価格が値下がりすれば含み損を抱えることになり、その時点で売却すれば損が確定します。


ETFとは


ETFは株価指数などの指標に連動することを目指す投資信託です。例えば、日経平均株価の値動きに連動するETFなどがあります。


指定参加者と運用会社とは


ETFのうち現物拠出型ETFの仕組みについて解説します。

証券会社や機関投資家は大量の株式を保有しています。これらが指定参加者となり、「株式の集合」である「現物株バスケット」をつくり、運用会社に拠出します。

運用会社は現物株バスケットを受け取り、それを元にETFを設定します。


つまり、指定参加者は現物株バスケットを拠出してETFを得て、運用会社は現物株バスケットを得てETFを発行します。

指定参加者はETFを東京証券取引所などに売却し、投資家は東京証券取引所などでETFを売買します。


J-REITがETFの一種とは


冒頭の「REITとETFの基本」の章で「REITはETFの一種ということができる」と解説しましたが、J-REITは東証REIT指数という指標に連動することを目指す投資信託なので、そのようにいうことができるのです。


まとめ~不動産投資デビューに向いている


この記事の内容を箇条書きでまとめます。


●不動産投資に興味があるが「ハードルが高い」と感じたらREITがおすすめ

●REITなら株式投資感覚で始めることができる

●REITなら少額から始めることができるので、ローリスク・ローリターン型投資が可能

●J-REITの価格や利益、損失は、国内不動産市場の動向によって決まるので、不動産投資を学ぶことができる

●ETFは指数や指標に連動する投資信託であり、J-REITもそのETFの一種で東証REIT指数に連動することを目指してつくられている


不動産は社会と経済に欠かせないモノなので、投資対象としてはとても魅力的です。しかし自分で不動産を購入して運用するとなると、それなりの準備が必要になります。

REITは「不動産投資デビュー」をする人にとって、うってつけの投資商品といえるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?