御社はアルバイト管理アプリを使っているか~人手不足の切り札
人手不足問題を抱えていない企業のほうが珍しくなりました。
これまで企業は、働く人が足りなくなるとアルバイトを補充して急場をしのいできましたが、それも難しくなっている状況です。
そこで重要になるのが、会社とアルバイトのコミュニケーションです。
経営者や人事担当者や管理職がアルバイトと対話し必要なケアをしていくことで、アルバイトたちは会社を信頼するようになり長く働いてもらうことができます。
この記事では、企業のアルバイト管理者が抱える課題や、アルバイトが感じている負担などを解説したうえで、企業とアルバイトをつなぐコミュニケーションアプリ・ツールを紹介します。
アルバイト管理者が抱える課題
総務省によると、アルバイトを含む非正規雇用が多い業界は、飲食・小売・卸売業で、そのアルバイト比率は5割に迫ります。
そこで飲食業と小売業のアルバイト管理者が抱える課題をみていきます。
参照
産業別・規模別非正規雇用比率の推移|内閣府、総務省
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je06/06-00503-01.html
飲食店店長のアルバイト管理の悩み
求人情報企業が飲食店店長に悩みを尋ねたところ、トップ5は次のようになりました。
■飲食店店長の悩みトップ5
1位 シフト調整と当日の欠勤
2位 スタッフ教育
3位 給料が少ない
4位 スタッフ間の人間関係
5位 家族や恋人との時間が足りない
店長自身の悩みが2つ(3位と5位)なのにたいし、スタッフ関連の悩みは3つ(1位、2位、4位)もあります。
そして飲食店はアルバイト比率が高いので、この「スタッフ」には多くのアルバイトが含まれているはずです。
1位はシフト調整と当日の欠勤でした。勤務シフトになかなか入ってくれないスタッフや当日欠勤するスタッフが多いと、店長は店舗運営に苦労するでしょう。
スタッフ教育は店長の通常業務のはずですが、それが悩みの2位になっています。例えば、アルバイトが頻繁に辞めると何度も新人アルバイトに同じ教育をしなければならず、店長の負担は増えます。
そして店長はスタッフ間の人間関係にすら手を焼かなければならないようです。
ではなぜ飲食店の店長はスタッフのことでこれほど悩むのか。それは店長の喜びの源泉もスタッフにあるからです。
同じ調査で飲食店店長に楽しさとやりがいを尋ねたところ、1位スタッフの成長、4位リーダーとして人を動かせること、5位スタッフとの一体感、という結果になりました。
飲食店店長は、アルバイトを含むスタッフに対して熱い想いがあるがゆえに悩まされることも多い、というのが実態のようです。
参照
飲食店店長の労働環境が改善傾向に!求人@飲食店.COMが店長業務の実態について調査|株式会社シンクロ・フード
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000407.000001049.html
小売店店長のアルバイト管理の悩み
続いて、小売店店長の意向調査の結果を紹介します。
小売店店長に、自身の業務で重要ととらえていることを尋ねたところトップ5は以下のとおりでした。
■小売店店長が考える、自分の業務の重要なところトップ5
1位 接客業務の質
2位 スタッフのマネジメント、教育
2位 陳列、売場づくりの質
4位 売上、予算の管理の精度向上
5位 本部指示の徹底レベルの向上
スタッフのマネジメント、教育が2位になっていて、小売店でも飲食店同様、スタッフ関連業務が店長の重要テーマになっていることがわかります。
また1位は接客業務になっていますが、接客は主にスタッフが行うのでこれも「スタッフ関連」といえます。
さらに5位の本部指示の徹底も、店長がスタッフに本部指示を徹底させなければならないのでこれも「スタッフ関連」です。
小売店もアルバイト比率が高いので、店長が気を配らなければならないスタッフの多くもアルバイトのはずです。
小売店店長もスタッフ対策、アルバイト対策を打ち出していく必要がありそうです。
参照
【調査報告】小売業で働く従業員の業務内容についての意識調査|NEXWAY
https://chainstore.nexway.co.jp/contents/02
アルバイトが感じる負担
店長がアルバイト管理に課題を感じているように、アルバイトのほうも勤務先に少なからぬ負担を感じています。
企業がアルバイトとのコミュニケーションを円滑に進めるには、アルバイトたちの実情や心情を知っておいたほうがよいでしょう。
知らされていないストレス
アルバイトを対象にした意向調査で「働く前に知っておきたかったこと」を尋ねたところ次のような結果になりました。
■アルバイトが「働く前に知っておきたかったこと」トップ5
1位 勤務時間や退勤時間
2位 業務量
3位 従業員の交流や年齢層などの働く人の環境
4位 接客、調理、配達業務の量や自由度、内容
5位 身につけなければならないスキル・知識
この結果から、アルバイトたちがかなりいろいろなことを知らずに働き始めていて、なおかつ、それらを事前に知りたかったと思っていることがわかります。
しかも1位は勤務時間、2位は業務量となっていて、働く時間も働く内容も知らされないことが多いようです。
この結果について、企業の人事担当者のなかには「勤務時間や業務量を事前に伝えないわけがない」と思う人がいるかもしれません。しかしここでのポイントは、「働く前に勤務時間や業務量を知らされていなかった」と感じているアルバイトが多いという事実です。
「こんなに勤務時間が長いとは思わなかった」「業務量がこんなに多いとは思わなかった」という理由で辞めているアルバイトが多い企業では、アルバイトとのコミュニケーションの在り方を再考したほうがよいかもしれません。
参照
飲食アルバイト6割以上が経験者!‟勤務時間や退勤時間”を事前に知りたかったと回答|ディップ総合研究所
https://www.baitoru.com/dipsouken/all/detail/id=398
コンビニ・バイト特有の問題点
コンビニはアルバイトが多い小売店の代表といえるでしょう。そしてコンビニの従業員たちも店側の対応に不満を持っています。
経済産業省がコンビニの従業員に意向調査を行ったところ、その4分の3は「満足している」と回答しました。つまり4分の1は何かしらの不満を抱えているということです。
主な不満は以下のとおり。
■コンビニ従業員の不満
●業務量が多い
●業務の種類が多い
●研修を充実させて欲しい
●深夜業務は身体的につらい
●深夜業務は恐い
●適切なスタッフ数を確保して欲しい
業務量の多さへの不満はここでもみられました。
そして最近のコンビニの業務は、商品の販売、公共料金の支払い、宅配便の受け付けだけでなく、調理や配達といった仕事も加わります。仕事の種類の多さにとまどう人がいて当然です。それが研修を受けさせて欲しいという不満を生んでいるのでしょう。
コンビニ業務につきものである深夜業務も負担になっています。
さらに、スタッフ数が適切ではないという不満は人手不足を反映していると推測できます。スタッフ数が少ないと1人のスタッフの負担が増えるので、人手不足は企業の問題であると同時にアルバイトにとっても問題になることがわかります。
参照
新たなコンビニのあり方検討会|経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/003.html
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/pdf/003_02_03.pdf
本部が抱える課題
チェーンの飲食店や小売店の場合、現場である店と本部である本社では抱える問題が異なります。
そこで本部が抱えるアルバイト管理に関する課題を紹介します。
入退社手続き
本部と複数店舗がある会社の場合、入退社の手続きを本社で行い、店側は本部が雇用したアルバイトに働いてもらうだけ、という形態になることがあります。
アルバイトがすぐに辞めてしまうとすぐにまた新しい人を雇わなければならず、本部の担当者は入社手続きと退社手続きを繰り返すことになります。
入社手続きには、雇用契約、労働条件の通知、税金関係の処理、社会保険の手続き、給与支払いの手続き、身元確認、健康診断などがあります。
退社手続きには、退職届の受理、税金関係の処理、社会保険の手続き、引き継ぎなどがあります。
1人のアルバイトが1年間辞めなければ、1年間に行う手続きは入社手続き1回で済みます。
しかし1年間に3人のアルバイトが入社して辞めてしまうと、入社手続きが3回、退社手続きが3回必要になります。
人事・労務管理
本部がアルバイトの人事管理と労務管理をしている場合、この仕事もアルバイトの出入りが多くなるとどんどん増えていきます。
アルバイトが退職してしまうと、新しいアルバイトにまた1から仕事を教えなければなりません。
また、アルバイトは働ける時間や曜日が限られているので労務管理が複雑になります。人が入れ替わるとその複雑な業務がさらに複雑になります。
アルバイトの人事・労務管理をコンピュータ・システムで処理している場合、入社時と退社時にデータを更新しなければなりません。
本部としても、入退社手続きの面でも人事・労務管理の面でも、アルバイトが定着したほうがよいのは明確です。
連絡手段の課題
企業がアルバイトとのコミュニケーションを深めて信頼関係を構築することは、離職予防になります。しかし人事担当者や管理職にとって、アルバイトとのコミュニケーションを充実させることは負担になるはずです。
そこで連絡手段としてインターネット・ツールやITツールを使うと、コミュニケーション業務の負担を減らしながら円滑に進めることができます。
連絡手段の課題を考えてみます。
LINE利用のメリット・デメリット
インターネットやITを使ったコミュニケーション・ツールといえば、まずLINEを思い浮かべるのではないでしょうか。
企業とアルバイトもLINEでつながることができます。
LINEをアルバイト管理ツールとして利用するときのメリットとデメリットを紹介します。
LINE利用のメリット
LINE利用の最大のメリットは使いやすさです。アルバイトの多くはスマホを持っていて、スマホを持っている人の多くはLINEを使っています。
したがって企業の人事担当者や管理職がアルバイトに「LINEを使って業務連絡をする」と伝えても、「使い方がわからない」ということはほとんど起きないはずです。
そしてLINEのよさはその手軽さにあります。人事担当者もアルバイトも、スマホを操作するだけでコミュニケーションが取れます。
グループをつくれば、人事担当者は一瞬ですべてのアルバイトに用件を伝えることができます。
またアルバイトのほうもLINEなら、人事担当者に気軽に相談できるようになります。例えばアルバイトが、本部の人事担当者から聞いたことと店舗の店長が言っていることが違うと感じたら、LINEですぐに人事担当者に問い合わせることができます。
LINE利用のデメリット
LINE利用のデメリットは、気軽さが裏目に出ることです。
LINEは、友人や家族などの親密な人との間で使うことが多いので、勤務先のLINEでもオトモダチ感覚が抜けないことがあります。その結果、雇用主と労働者の間で維持しておきたい最低限の緊張感が破られてしまうかもしれません。
また、アルバイトのなかには、勤務先の会社に自分のLINE・IDを教えることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
業務用の連絡をプライベートとわけてスマホで受け取れる状態にするのがベスト
LINEをアルバイト管理に使うメリットとデメリットからわかることは、スマホを使う気軽さはプラスにもマイナスにも働くということです。
そのためベストな状態とは、業務用の連絡をプライベートとわけてスマホで受け取れるようにすること、となるでしょう。
そこで、アルバイト管理に悩んでいる企業の人事担当者におすすめしたいのが、スマホ向けの業務用のコミュニケーション・アプリです。
アルバイト管理コミュニケーションに使えるスマホ・アプリ
アルバイト管理やアルバイトとのコミュニケーション構築に使えるスマホ向けアプリには次の3タイプがあります。
■アルバイト管理に使えるスマホ・アプリの特徴
●コミュニケーション特化型
●シフト管理特化型
●教育特化型
1つずつその特徴を紹介します。
コミュニケーション特化型
コミュニケーション特化型にはMicrosoft TeamsやChatwork、slackなどがあります。またLINEでもLINE WORKSは業務用とみなすことができます。
これらのアプリにはチャット機能がついていて、リアルタイムで文章での会話ができたり、その文面を自動保存できたりします。
またワードやエクセル、画像、PDFなどの送受信も可能です。
シフト管理特化型
シフト管理特化型にはSync UpやTIME CARD、R Shiftといったアプリがあります。
例えばSync Upなら、アルバイトたちからシフトの希望を集め、シフトをつくり、アルバイトにシフトを周知することができます。また、複数の店舗を持っている企業であれば、ある店の店長が別の店の店長にヘルプを出すこともできます。
TIME CARDはその名のとおりタイムカードの代わりになり、出退勤時間の打刻をアプリで行えます。もちろんシフトを作成、管理することも可能。
さらに労務アラート機能は、残業時間の上限を設定しておくと、アルバイトがその時間を超えて働くと知らせてくれます。
参照
お店の『生産性Up』を支えるシフト管理システム|Sync Up
従業員をクラウド勤怠システムで一元管理|TIME CARD
教育特化型
「はたLuck」は店舗マネジメントDXアプリというジャンルのアプリになりますが、これをアルバイト教育に使うことができます。
「はたLuck」には情報共有機能があり、業務内容を書いておくことができます。アルバイトが仕事中に困ったことが発生したら、自分のスマホでこれをみれば解決できます。
またエンゲージメント機能でコミュニケーションを深めることができます。例えば店長がアルバイトに助けられたら、エンゲージメント機能を使ってアルバイトに星を送ることができます。星は感謝の気持ちを見える化したものであり、アルバイトのやる気を引き出すはず。
また、エンゲージメント機能に自社の優待券を登録しておけば、優れた仕事をしたアルバイトにそれをプレゼントすることができます。
参照
店舗サービス業に特化した店舗マネジメントDXアプリ|はたLuck
https://hataluck.jp/
アルバイトを戦力化するアプリを開発、働き方改革へ|日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00111/00077/
まとめ
この記事の内容を箇条書きでまとめます。
●人手不足問題はアルバイトがすぐに辞めてしまうとより深刻化してしまう
●企業はアルバイトをつなぎとめるためにコミュニケーションを強化したほうがよい
●コミュニケーションアプリはアルバイト管理にも、アルバイトとのコミュニケーション構築にも有効
●アルバイト管理者も、アルバイト本人も、企業の本部も、アルバイトの働き方に課題を抱えている
●LINEは手軽なコミュニケーション・ツールだが業務に使うとデメリットもある
●業務用のアルバイト管理スマホ・アプリには1)コミュニケーション特化型、2)シフト管理特化型、3)教育特化型などがある
企業が人手不足で悩んでいたら、そして特にアルバイト管理に課題を抱えていたら、コミュニケーションを強化するスマホ・アプリがそのソリューションになるはずです。
さまざまな種類があるので、自社にマッチしたアプリを探してみてください。
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