「早く死んでくれてよかった」という言葉の優しさ、介護の現実
85歳の高齢女性は、2年前に夫を病気でなくした。
そして今、高齢女性は原因不明の病気におかされ、足が動かなくなり介護が必要になった。
高齢女性は最近、2年前に夫を看取ったことを思い出し、「夫が早く死んでくれてよかった」と言った。
これは「あのクソオヤジ、とっととくたばってせいせいした」と言っているわけではない。
夫が死ぬ前の、通院や入院手続きや見舞いを思い出し、死後の葬儀や墓の手配を思い出し、「今の弱った自分ではあれだけ手厚い対応をすることはできなかっただろう」という意味であり、「だから私が元気なうちに夫が死んでくれてよかった」と言っているのだ。
つまり愛が「早く死んでくれてよかった」と言わしめたのである。
この高齢女性はそこそこの額の年金を受け取り、3人の子供のうち2人にしっかり見守られているから、恵まれている介護高齢女性といえるだろう。
それでも愛する亡き夫を思い出して、死に感謝せざるをえないのだ。
「あなた、私にはもう無理、一緒に死にましょう」は、この高齢女性のわずか3歩先ぐらいにあるのだろう。
介護は最良なものでも地獄であり、最悪の介護になると最悪の地獄である。
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