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人間ドックは健康診断と何が異なり、どれくらい充実しているのか

人間ドックに関心があるもののまだ受けたことがない方は、人間ドックに対して次のようにイメージを持っているのではないでしょうか。

●人間ドックは健康診断の豪華版

●人間ドックの検査項目は、健康診断の検査より多い

もう少し詳しい方は、次のことを知っているかもしれません。

●人間ドックを受けるかどうかは任意、健康診断の実施は法で定められている

この記事では、人間ドックを受ける意義を、健康診断と比較しながら考えていきます。


検査項目を比べてみる


最も気になるのは、人間ドックと健康診断の検査項目の違いではないでしょうか。

標準的なあるクリニックAのスタンダードの人間ドックの検査と、新宿区の特定健康診査の検査を比較してみましょう。「●」が実施している項目です。



新宿区のものは健康「診査」となっていますがこれは健康「診断」とほぼ同じ意味と考えてください。


検査の数が全然違う


クリニックAのスタンダード人間ドックで行っていて、新宿区の特定健康診査で行っていない検査は、31項目になります。

逆に、新宿区の特定健康診査にあって、クリニックAのスタンダード人間ドックにない検査は、脂質検査のNon-HDLコレステロールだけです。

検査の数がまったく異なります。


胃がん、大腸がんをチェックできない


人間ドックで特筆すべき点は、検査項目の多さだけではありません。

新宿区の特定健康診査では、視力、聴力、膵機能などをチェックしません。つまりまったく確認しない臓器があるということです。


特に胃部検査と便潜血検査が、新宿区の特定健康診査にないのは気になるところです。

胃部検査は胃がんを、便潜血検査は大腸がんを調べる検査ですので、これはしっかり調べたいところです。


お金を出してしっかりみてもらう


ただ、これだけの差がつくのは仕方がない面があります。

新宿区の特定健康診査は、対象者は限られていますが無料です。一方、クリニックAのスタンダード人間ドックは41,800円(税込)になります。

そのため、人間ドックと健康診断(健康診査)の違いは、次のようにいうことができそうです。

<人間ドックと健康診断の違い>

●人間ドックはお金を出してしっかりみてもらう

●健康診断(健康診査)は最低限のチェックを行う


法律で定められているかどうか


健康診断は、労働安全衛生法によって、事業者に実施が義務づけられています。したがって、働く人はすべて健康診断を受けることになります。

一方、人間ドックは任意です。そのため人間ドックは、健康診断を受けたうえに受けることになります。

ただ企業によっては、人間ドックを受ける人は健康診断を免除することがあります。


こうしたことから、人間ドックと健康診断の違いは、次のようにいうこともできます。


<人間ドックと健康診断の違い>

●人間ドックは任意

●健康診断は受けなければならない


高度な検査を受けられる


人間ドックにあって、健康診断にない特徴があります。

それは高度な検査が受けられることです。


胃内視鏡検査を受けることができる


先ほどの表の、クリニックAのスタンダード人間ドックの胃部検査の項目をもう一度紹介します。

クリニックAでは、受診者様が希望すれば追加料金3,300円(税込)で、胃部X線検査を胃カメラ(胃内視鏡検査)に変えることができます。


胃部X線検査はX線画像で胃がんの影がみえるかどうか確認する方法ですが、胃内視鏡検査は医師の目がダイレクトに胃のなかをみます。

したがって、胃内視鏡検査は、胃部X線検査より高度な検査ということができます。


また、人間ドックは法律で縛られていないため、医療機関が自由に検査を設定できます。詳しく調べたいと考えている医療機関は、いくらでも高度な検査を人間ドックの検査メニューに加えることができます。


4種類の腫瘍マーカーも


クリニックAの「精密ドック」という人間ドックでは、4種類の腫瘍マーカー検査も行います。

4種類は男女で異なり、以下のとおりです。


男性:1)CEA、2)AFP、3)CA19-9、4)PSA

女性:1)CEA、2)AFP、3)CA19-9、4)SCC


CEAは、大腸がん、肺がん、乳がんの可能性を調べるマーカーです。

AFPは肝臓がんのマーカーです。

CA19-9は膵臓がん、大腸がん、胆道系のがんのマーカーです。

PSAは前立腺がんのマーカーです。

SCCは肺がん、子宮頸がん、食道がんのマーカーです。


心臓ドックも


クリニックAでは心臓の検査を充実させた心臓ドックも行なっています。

ここではベーシック人間ドックの検査に加えて、心電図(安静時心電図・心拍数・負荷心電図)と心臓病検査(BNP)を行います。

心筋梗塞や狭心症、弁膜症、不整脈などのリスクがわかったり、病気そのものを発見できたりします。


以上のことから、人間ドックと健康診断には、次のような違いもあります。


<人間ドックと健康診断の違い>

●人間ドックは高度な検査を行うことができる


まとめ~しっかりチェックするなら一択


本記のなかで紹介した人間ドックと健康診断の違いを再掲します。


●人間ドックはお金を出してしっかりみてもらう

●健康診断(健康診査)は最低限のチェックを行う

●人間ドックは任意

●健康診断は受けなければならない

●人間ドックは高度な検査を行うことができる


基本的な検査はダブりますが、人間ドックと健康診断では、コンセプトがまったく異なることがわかります。

しっかりした健康チェックを求めているのであれば、人間ドックの一択となるでしょう。


参照

労働安全衛生法 | e-Gov法令検索

健康診査(特定健康診査等):新宿区 (shinjuku.lg.jp)

000237225.pdf (shinjuku.lg.jp)

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