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仕事を創り出すのが好きなんだな つづきの2

「アナウンサー養成講座」事業は全部私に任された(言い出しっぺだから当たり前だけど)。カリキュラムは、元アナウンサーの専務と私で作ることにした。専門的な部分はちゃんと残しつつも、前職で博覧会のコンパニオン教育に携わっていた私は、「魅せる」部分にこだわった。

そこで、メイク、カラー、立ち居振る舞いなどの講座を取り入れた。講師は元コンパニオンたち。その後それぞれ勉強して独立していた人たちだ。またまた昔取った杵柄が役に立った。それに、彼女たちとまた一緒に仕事ができることが嬉しかった。

「アナウンサー養成講座」はかなり順調だった。放送局の正社員、つまり局アナを目指す就活中の学生も在籍していて、そんな人たちには、OBじゃなくて、現役アナウンサーに指導をお願いした(ここは元アナウンス局長の力)。実際のスタジオを使った実習など、「お話し方教室」とは全く違う講座に生まれ変わらせた。そして2年目に、他県の民放局に正社員採用される人が生まれた時には、これまでの苦労も吹き飛んだ。講座があることで少しずつ認知も広がり、派遣の仕事も増えていった。

道路交通情報センターの仕事

「道路交通情報センター」から話が来たときは驚いた。テレビやラジオ、はたまた高速道路で道路情報を伝えるアレ。これまでの直雇用から派遣に切り替えたいのだと(この辺は少し複雑な心境・・・)。この仕事は、アナウンサーとしての資質もさることながら、言ってみれば、全部生放送の実況中継のようなものなので、研修は大変なものだった。たった数分間の中で、どれを優先的に伝えるのか、喋りだけでない臨機応変さに、スタッフはずいぶん苦労したようだ。それでも「喋りの仕事」に飢えているスタッフたちにとっては、放送に携われる喜びにあふれていた。

朝の通勤時間帯は、福岡中のラジオ局とテレビ局がオンエアするので、いったい何人派遣すればいいのか、まるで私は、鉄道のダイヤグラム組む人みたいな感じ(イメージです)で人員配置を組み立てた(パズルみたいで面白かったけど)。

ところでちょっと余談。
道路交通情報センターというのは、実は県警本部の中にある。警察と同じ建物の中で働くというので、身元審査も必要だった。

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※写真はお借りしました(福岡ではない)

中はまさに↑こんな感じ。仕事場はこれが見渡せる上の階にある。刻々と変わる道路の状況を上からチェックし、臨機応変にコメントを変えないといけないという、ものすごく高度な仕事なのだ。フロアには、まるで試着室のような小さな防音ブースがいくつも並んでいて、それぞれのブースで生放送をする。同じ時間帯に隣のブースでは別の局のオンエアがあっているなんてザラ。1人のスタッフでは、○分からはFM福岡、○分からはKBCラジオ、○分からはNHKテレビ、などとやっている。

好きこそものの上手なれ

当時のセンターの部長(男性)も時々テレビに出ていた。「学生時代はアナウンサー志望で、全国の放送局受けたんだけどね、全部落ちて、やっとここに採用された」らしい。アナウンサーになりたい人というのは、どこまでも喋りたいものなんだなぁと、つくづく思った。

派遣の仕事は、道路交通情報センター以外にも、他局のニュースアナや、ボートレースの実況中継など、「喋りの仕事」は徐々に増えていった。「養成講座」事業と「派遣」事業とが上手くリンクするようになり、事業としても大きな柱に成長することができた(なんか自慢話ですみません)。

その人の持っているスキルを、どこで発揮してもらうかを考えるのは今でも大好き。その場所を探してマッチングするのも好きだけど、新しく創り出すのはもっと好きなんだな。そうやって、自分自身の好きなことも創り出してるという。

そんなことを思い出させてくれた、短大の授業だった。

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