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諸星大二郎という漫画家が支持されている理由

世の中には知らないことがたくさんあるもんだ。まるで聞いたこともない名前の漫画家の展覧会。オットがどうしても行きたいというので、何だかよく分からないけどついて行った北九州漫画ミュージアム。

『デビュー50周年記念 諸星大二郎 異界への扉』

うーん、見るからに私のアンテナには逆立ちしても引っ掛からず、何なら避けて通りたい部類。だけど、何でも食わず嫌いはアカンなと思っているので、マーケター魂を鼓舞して入場してみた。

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そもそもマンガに興味がない私なんだけど、最近ちょいちょい知ることがあって、結構奥が深いんだなということはわかってきた。そう思ってはいても、イマイチ気乗りしない展覧会。そんなに有名な人なの???

チラシの裏にはこう書いてある。

 日本中に多数の熱狂的なファンをもち、クリエイターから異分野の研究者まで、あらゆる方面から絶大な支持を誇る漫画家・諸星大二郎。
 その作風は、SF的なものから、民俗学・考古学的な視点を持った作品、人類学的な思考とスケールを持った作品、記紀神話を基に大胆な世界観を披露した作品、東洋文学・思想から影響が見られる作品、博物学的な視点を感じさせる作品、日常をテーマにした作品まで、幅広いジャンルに渡っています。誰にも真似することができないといわれる諸星ならではの絵とも相まって、どの作品においても独特の世界を築き上げています。

不気味なモチーフも、突拍子もないストーリーも、歴史的なネタ元があるんだなぁ。そしてそれも、かなり深く研究をしている中から出てくるもので、その解釈に学者たちでさえも注目するという。。。

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今回の展示会は、そのネタ元になっている歴史的な絵やモノが、漫画の原画の隣に並んでいるので、私のように全く無知な見学者でもまあまあ楽しめた。正直ストーリーはどうでもいいし、原画の数ページからは読み取れることも大してないけど、ネタ元と比べることで、そのアレンジや表現方法は見ていて飽きなかったしなかなか興味深かった。

不気味な絵が多いけど、この諸星先生は意外とお茶目なのかな、という感じもした。「入口はこちら」とか「出口はこちら」などと、この展覧会のために書き下ろした絵は、72歳の大先生にして人懐っこい感じがしたし。

後で知ったことだけど、この諸星先生のデビュー作品(何かの賞に応募したもの)が、学生にしてはあまりに物語がうまいので、盗作じゃないかと疑われたとか。SF作品だったので、SFの第一人者筒井康隆に、問い合わせが殺到したんだそう。いやいやスゴい人なんだな。

いやー、なんだかんだと閉館までの(!)2時間居座った。若干時間が足りなかったくらい展示数が多かった。展示会は、昨年末に彼の生誕地長野県で始まり、ここ北九州が2ヶ所目。東京へはこの後巡回するとのことだから、北九州なかなかやるなぁ。「漫画ミュージアム」というだけのことはある。

自分では絶対に足を踏み入れることもなく、一生知らずに素通りしていたかもしれない世界だけど、こうやってオットの興味に付き合うことで、私の視野もちょっぴり広がるからオモシロイ。ま、逆もさもありなんでしょうけどね。


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