閑話休題~顧問先のブログから

 顧問先の保育園でブログに記事を頼まれて、「黒一点の戸惑い(2)」と題して以下の内容で書きました。

 「前回 黒一点の私の戸惑いの話を書きましたが、今回はその続きです。

 戸惑いの最後は、保育園というのは柔軟性・多様性が存在しかつ要求される職場なのだなということです。
 まずはお預かりする園児さんの登園帰園時間がまちまちです。当園では主に1歳児2歳児の園児さんをお預かりしており、さらに当園の特徴である慢性疾患をお持ちの園児さんもいるので、園児さんが自分で出来ることも園児さん毎に違い、多様性があります。さらにこの保育士さんはいいけど、この保育士さんはダメみたいな人見知りをする園児さんもいるので、まさに個別対応が求められます。
 対応するスタッフも勤務が様々です。当園は、常勤の方は限られたメンバーで、一日の勤務時間が短い契約の方が多く、その勤務時間も早番や遅番があり、午前午後でスタッフが交代することもあります。そのため園児さん毎に引継ぎが発生し、うまく回していく体制が必要です。毎日行われる朝や昼のミーティングもスタッフ全員が出ることはなく、引継ぎをする難しさも感じます。園長や主任保育士といった常勤の方に情報を集中させないと運営が難しいわけです。私自身の40年超の会社員としての生活は、もちろん時短の契約社員の方や派遣社員の方とも仕事をしたこともありますが、常勤の社員が大半でしたので、そんなところは多いにギャップを感ずるところです。
 そういった多様性を抱えながら、お預かりする園児さんの成長を促すことが保育園の役目なのだなと思います。当園も「保育園落ちた日本死ね」ブログが契機になった規制緩和で生まれた園の一つですが、園長をはじめスタッフの方が保育の質を絶えず念頭に置かれて、日夜奮闘されているのをみると、何かしらでお役に立てればと思って、お手伝いをしているところです。

 ここからが今週の本題です。

 保育園のお仕事をお手伝いするようになって最初に感じたことです。ブログの最後に少し触れましたが、待機児童の問題がそれまでも顕在化していたはずなのに、SNSの一言で安倍内閣のもとで制度改正への大きなうねりとなり、規制緩和がなされました。まさに政治主導で物事が大きく動いた感がありました。児童福祉法第24条には「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において、次項に定めるところによるほか、当該児童を保育所(認定こども園法第三条第一項の認定を受けたもの及び同条第十一項の規定による公示がされたものを除く。)において保育しなければならない。」とあります。また、第二項には「市町村は、前項に規定する児童に対し、認定こども園法第二条第六項に規定する認定こども園(子ども・子育て支援法第二十七条第一項の確認を受けたものに限る。)又は家庭的保育事業等(家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業をいう。以下同じ。)により必要な保育を確保するための措置を講じなければならない。」とあり、市町村には、保護者の保育のニーズに対し、制度や施設を用意する義務が定められています。待機児童の問題は様々な事由が積み重なり、市町村が行政としての責任を果たしていなかったことが問題視されたということだと思います。安倍内閣の人気取りの政策と揶揄された面もありましたが、行政の問題とされる前例主義や縦割りの壁を政治が突き崩したと感じました。

 私がお手伝いをしている保育園も多くの補助金を受領することで、保育士さんを雇い、お子さんをお預かりすることができています。共稼ぎをしながら子育てをする家庭の負担軽減を図るため、社会全体で子供を育てるという意味で税金が投入されているということです。今年は補助金で成り立つ保育園がさらにたくさん開業したそうです。保育園が増えれば、確かに待機児童は減りますが、保育士さんの質は確実に全体では低下します。大事な幼少期の保育の質の低下は問題かもしれません。また、コロナによって保育園に限らず公費負担が様々な形で求められています。

 本当にそれでよいのか、立ち止まって考えると怖くなってしまいます。


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