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夜明け前から森へ向かう

1日経っても道路の除雪が追いついていないことからも、前日にどれほど雪が降ったのか想像できる朝でした。

北海道と一言で表すと雪国のようなイメージもありますが、ここ十勝地方は比較的雪が少ない地域なので、数日も尾を引くような積雪があるのは数年に一度あるかどうかという印象です。もっとも、昨年も同じような大雪に見舞われたのですが。

除雪が間に合っていなくても、路線バスは夜明け前から走り始めます。

山を降りてくる始発バスとすれ違い、僕は山へと向かいました。雪が降り積もった後の森の雰囲気を味わうためです。

湿った雪は雪崩を引き起こします。北海道内最高所を通る三国峠は前日から通行止めが続いていました。

車が走らない直線道路3,000メートルはうっすらと雪に覆われ、まだ降り止まない雪に遠くは霞んでいます。この辺りで降る雪はたいてい乾いて軽いものなので、森の木々が白く染まるような日は1シーズンの中でもそれほど多くありません。

見慣れた森の中は景色が一変していました。

景色から圧力を感じるほどの雪景色に出会うのは久しぶりのことです。

どこを見回しても雪。ふだん歩きなれた場所ですら違う場所に感じられて、ルートを見失うほどでした。

面白かったのはマツの木です。

一枚ずつの葉は本当に細く小さいのに、それらが合わさってずいぶんたくさんの雪を受け止めていました。

下から木を見上げると、どれほど多くの雪が積もっているのかはなかなか想像できません。

ジャック・ロンドン『火を熾す』の情景を思い起こさせる場面でした。

東大雪の森。じつに見事な風景です。

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