タウシュベツ日誌 番外編 #001 虹架かる朝のタウシュベツ川橋梁
初個展前夜の記憶
翌週に東京での初個展を控えた朝に撮れた、虹の架かるタウシュベツ川橋梁です。
2005年7月、北海道に移り住むために大洗港で夕方に乗り込んだフェリーからも、雨上がりの空に架かる大きな虹を見たことを思い出しながらシャッターを切っていたことを今でも覚えています。
振り返ってみると、節目の出来事の前にはその予兆のように虹を見ることが多いような気がします。タウシュベツ川橋梁の写真を撮り続けようと決めたのも、そういえば虹の出た朝のことでした。
それはさておき、この2013年に開催した写真展『タウシュベツ拾遺』(富士フイルムフォトサロン東京)は大きな経験になりました。一週間の期間中、会場には1万人近くの方にご来場いただき、たくさんのご感想や励ましをもらいました。以後、すっかり写真展を開くのが楽しくなり、今ではむしろ写真展を開くために撮り続けているような感覚さえあります。
当時タウシュベツ川橋梁は全国的にもほとんど知られていなかったので、観客の方から一番多く受けた質問は「これはどこの国ですか?」というものでした。北海道の山の中にあることを説明すると一様に驚かれ、のちに実際に現地に足を運ばれた方もいました。その中の数人の方とはタウシュベツ川橋梁で偶然お会いしたこともあります。
実物のタウシュベツ川橋梁を訪れた方からの感想で嬉しいのは、「写真よりも実物の方がすごかった」というものです。もう18年ほど橋に通い続けていますが、水没時期に来てしまったという方以外で、実物を見てがっかりしたという人にはまだ会ったことがありません。
やはりタウシュベツ川橋梁は実物がすごいのです。
フォトムービー『タウシュベツ拾遺』
写真展『タウシュベツ拾遺』から先日丸10年を迎えたことに合わせ、当時展示した作品をまとめたフォトムービーを公開していますので、よろしければこちらもぜひご覧ください。
『タウシュベツ日誌』本編のお知らせ
『タウシュベツ日誌』シリーズは2020年、タウシュベツ川橋梁の崩落が近づいていることを踏まえて、その最後の姿を記録して後世に残すことを目指して創刊しました。2023年6月現在までに半年に一度の刊行を続けており、7作目までを出版しています。
すでに品切れとなった本もありますが、在庫があるものにつきましてはオンラインショップで販売しています。
また、創刊準備号の『タウシュベツ日誌 第0号』と創刊号『タウシュベツ日誌 第1号』はnote版を無料公開しています。