都知事選に見る「べき分布」
56人もの立候補者が立った都知事選が終わった。様々なスキャンダルを抱えながらも、現職の強みを生かした小池氏が圧勝。SNSで爆発的な人気を誇った石丸氏が2位になったが、小池氏とは100万票以上の大差がついた。
小池百合子 2,918,015
石丸伸二 1,658,363
蓮舫 1,283,262
田母神俊雄 267,699
安野貴博 154,638
内海聡 121,715
ひまそらあかね 110,196
なぜ、こんな大差がつくのだろう。もっと接戦になってもおかしくないのでは。。。ということで、統計的に調べてみた。
過去の都知事選を振り返る
これまでの都知事選でも、当選者と次点の候補者には大差がついている。
2012年の都知事選では、猪瀬氏が433万票を獲得、次点の宇都宮氏に300万票以上の差をつけた。
猪瀬直樹 4,338,936.00
宇都宮けんじ 968,960.00
松沢しげふみ 621,278.00
もっとも接戦となったのは2011年。当選したのは261万票を獲得した石原氏で、次点の東国原氏は169万票なので、90万票以上の差がついている。
石原慎太郎 2,615,120.00
東国原英夫 1,690,669.00
わたなべ美樹 1,013,132.00
得票数の分布
1999年以降の都知事選について、候補者を得票数の多い順に並べ、その順位と得票数との関係をグラフにした。
このグラフで、横軸は順位、縦軸は得票数である。どちらも対数軸になっている。
今回の選挙で1位となった小池氏は、得票数は291万票なので、上のグラフでは、左端(横軸=1)で、縦軸が291万のところにプロットされている。
そして最下位(56位)の上楽氏は211票なので、上のグラフの右下(横56,縦211)にプロットされる。
このようにプロットしてみると、過去の都知事選の結果が、ほぼ直線上に分布していることがわかる。縦軸も横軸も対数なので、これは、結果がべき分布にしたがっていることを意味する。
今回の選挙での近似式は以下のようになる。ここでxは得票数で、yは順位である。
$$
{y = 2,918,015\ x^{-2.304}}
$$
べき分布とは
べき分布とは、この例のように、yがxのべき乗に比例する分布であり、世の中にありふれている。
パレートの法則とか、20:80の法則などもべき分布であり、億万長者の資産と順位、地震の大きさと頻度などもべき分布に従う。
都知事選のようなものであっても、これだけ有権者が多くいて、立候補者も多くなると、結果はべき分布となる。だれが一位になるかはわからないが、一位から最下位までの得票数は、統計的におおよそ予測できることになる。
一人ひとりは自分の意志にしたがって投票しているが、結果はマクロの法則から逃れられないということだろうか。
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