常温核融合?
最近になって、株式会社クリーンプラネットが取り組んでいる量子水素エネルギー(Quantum Hydrogen Energy 略称QHe)というのを知った。
水素を燃料にして、単純に燃やすのに比べると10000倍のエネルギーを取り出すことができると言う。
理論的な解明はされていないものの、どうやら核融合が起こっているらしい。しかも、1億℃などという高温ではなく、数百度という温度で、放射能なども出ない。
QHe IKAROS
上の図はクリーンプラネット社のヒートモジュールプロトタイプであるIKAROS。高さ63cmという小ささでありながら、一本のモジュールで2kWの熱出力がある。
これを応用したボイラの開発が三浦工業株式会社と共同で進行している。
仕組み
中核となる発熱体は、ニッケルベースのナノ複合金属材料で、2nmの厚さの銅と、14nmの厚さのニッケルで構成されている。
この薄板を入れた容器を真空にして、水素を注入し、数百度に加熱すると、加熱した以上の熱が出る。
クリーンプラネットは次のように説明している。
ナノ複合金属材料の小さなチップを使った実験では、封入した水素だけで589日間も過剰熱を出し続けた。(下図)
この実験で発生した熱はわずかであるが、発熱体を大型化するとともに、熱ロスを減らすなどしてシステム効率を上げ、1回の水素投入・加熱による運転発熱体を大きくすれば、成績係数(COP:Coefficient of Performance)が10を大きく超えることが期待できる。つまり、投入エネルギーを10倍以上にできる。IKAROSのヒートモジュールは、大型化した発熱体である積層シートを、モジュールの円筒の中に収納している。
QHeの可能性
現在はボイラへの応用が進められている段階であるが、安定した技術になれば、以下のような無限とも言える可能性が広がるであろう。
実用化が待ち遠しい。
常温核融合について
1989年3月23日、イギリス・サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマンとアメリカ・ユタ大学のスタンレー・ポンズが、常温核融合現象を発見したとマスコミに発表。
重水を満たした試験管に、パラジウムとプラチナの電極を入れ暫らく放置、電流を流したところ、電解熱以上の発熱が得られ、核融合の際に生じたと思われるトリチウム、中性子、ガンマ線を検出した言う。
発表直後より数多くの追試が試みられたものの、多くは過剰熱の確認ができず、過剰熱の観測に成功したとする実験でも再現性は低かった。
その後も研究は続けられているが、多くの核物理学者は常温核融合を否定的に評価している。
量子水素エネルギーは、この「常温核融合」の一種であると考えられている。しかも、材料は重水素ではなく、普通の水素であり、パラジウムやプラチナなどの希少金属は不要である。
参考サイト
株式会社クリーンプラネット
https://www.cleanplanet.co.jp/ja/
【衝撃】天然ガスの1万倍!日本が開発中の量子水素エネルギーがとんでもなくヤバい…【QHe】
https://www.youtube.com/watch?v=l8r2QTIqG4s
日経XTECH
「核変換」を利用した産業用加熱装置、2030年以前に量産へ
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02443/070300007/
Foebes Japan
核融合だけではない、日本発の次世代エネルギー技術「QHe」とは
https://forbesjapan.com/articles/detail/64933
エネフロ
Vol.60 核融合に新たな技術 量子水素エネルギーとは?
https://ene-fro.com/article/ef313_a1/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?