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爺でもわかるブロックチェーン(1)

以下は2016年12月13日に私が以下のホームページに掲載した記事です。
https://officemoorea.wordpress.com/
最近、web3という文脈でブロックチェーンが注目されていることや、上記ホームページの更新ができていないことから、古い記事ですが、noteに転載します。

■はじめに


「フィンテック」が新聞やテレビをにぎわしている。ブロックチェーンという技術を活用して、銀行業務を改革し、モバイル決済や資産管理など様々なサービスを安価に提供しようというものだ。日銀までこれに乗っかって、金融改革を行うと言う。

でも彼らは分かっていない。本当にブロックチェーンを活用したら、銀行はもちろん、日本銀行のような中央銀行さえ不要になるということを。さらには「国」という概念も怪しくなる可能性がある。

何をまた大げさな。。。

でもちょっとしたきっかけでブロックチェーンを調べ始めたら、それが大げさではないことがわかってきた。

インターネットの出現で第二の産業革命が誕生したとすれば、ブロックチェーンは第二の産業革命の成長エンジンである。

そんな思いをできるだけ多くの人に共有していただきたく、ブロックチェーンをわかりやすく、かつ、本質を漏らさないように、エッセーとして綴る。

■ナカモトサトシ白書


サイファーパンクというのを聞いたことがあるだろうか。暗号技術を積極的に利用してプライバシーを擁護し、政府による検閲や監視を拒絶し、社会を変えようという人々である。

そして国家の干渉を徹底的に嫌い、個人の不可侵の権利を擁護するリバタリアニズム(完全自由主義)を主張するリバタリアン。

2008年、世の中がリーマンショックにゆれる頃、これらの人々に衝撃を与える論文が、暗号理論に関するメーリングリストに発表された。投稿者は「ナカモトサトシ」なる正体不明の人物、これがナカモトサトシ白書である。

金融機関などの第三者機関を通さずに、甲乙間でダイレクトにお金の受け渡しができる仕組みが、暗号を使うことで可能になるという。画期的なのは「第三者機関がいらない」と言う部分。

■ビットコインとブロックチェーン


ナカモトサトシ白書をベースにして、ビットコインという仮想通貨が生み出された。そして、ロス・ウルブリヒトなる人物が、その通貨の匿名性を利用して「シルクロード」という麻薬取引サイトを立ち上げ、ビットコイン成長の原動力になる。

シルクロードは言ってみれば、違法薬物を扱う「楽天」や「ヤフオク」のようなもの。代金はビットコインで支払い、商品は私書箱に送り届けられる。お互いの信用は利用者による「評価」で担保される。

この辺りは非常に面白い物語ではあるが、本エッセーの主題ではないので割愛する。興味がある人は、「シルクロード」、「ロス・ウルブリヒト」などで検索してみてほしい。

これ以外にもビットコインを成長させたエンジンは、マネーロンダリング、アルゼンチンや中国など国を信用できない人々など、まっとうとは思えないものである。

2011年 ビットコイン取引量の70%を占めていた世界最大の取引所であるマウントゴックスが、ハッキングによるビットコイン喪失で破綻。皮肉にもこれがビットコインを世に知らしめることになった。

このようなスキャンダルまみれで成長してきたビットコインであるが、そのベースとなる技術、すなわちナカモトサトシ白書がいう「ブロックチェーン」が画期的であることが広く認識され、様々な仮想通貨や、アプリケーションができつつある。

これが進めば、お金のやりとり、ありとあらゆる契約、権利の行使や譲渡、投票など、国や機関が行っているほとんどのことが、ネットで、中央組織なしにできるようになる。しかも不正不可能な形で。

これまでのインターネットが「情報交換のインターネット」であったのに対し、ブロックチェーンを組み込むことで「価値交換も可能なインターネット」になる。

お題目はこれくらいにして、次回からはナカモトサトシ白書をベースに、ブロックチェーンの技術的な解説を試みる。あまりに専門的なので、本質を失わないように気を付けながら、できるだけ平易になるよう努めるつもりである。

次回の記事

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