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吉原題材は女郎の恨みつらみの暗い作品になりがちだが、爽やかさすら醸し出す

人々よ。

天保八年。

奥州を襲う大飢饉により九歳の少女が女衒の手によって、江戸吉原の大遊郭へ売り飛ばされる。

吉原の仕来りに抗いながらも、禿、新造を経て、やがて花魁へ。

吉原からの足抜け。

それは死を意味するが...

最期の救い、心のよすがは宗教か。

宗門に帰依すると。

吉原を題材にした作品は数多あるが、本作はその中でも良作。

物語を読ませながらも、細かな仕来り、風習、意味を新書のようでありながら、自然に表している。

吉原物になると、どうも女郎の恨みつらみの暗い作品になりがちだが、爽やかさすら醸し出ている。

吉原題材だと『さゆり』が個人的にはベストだが、本作もとても良い一冊でした。

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