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北風と太陽・・・就業規則を侮るなかれ

みなさんよくご存知のイソップ童話「北風と太陽」。
北風と太陽のどちらが強いかというところからお話が始まる。

北風から太陽に挑戦状が出される。
向こうから歩いてくる旅人のコートを脱がせた方を勝者とするという、旅人にしたら非常に迷惑な話だ。

太陽はその挑戦を受けて立つ。
最初に北風がその旅人目がけて風を吹きつける。
全身全霊のその風は冷たく強く、おそらく今までにははい風力があったに違いない。
旅人は震えながら身体をかがめ、必死にコートを抱え込んだ。
しかし、力尽きたのは、旅人ではなく北風だった。

次に太陽が登場するが、ニコニコと旅人をその日差しで優しく包み込む。
北風のようにピンポイントで旅人を狙うのではなく、燦々とあたり全体を優しく日差しで包み込むのだ。
旅人は暑くなってきて、ついにコートを脱いでしまう。

今日は、この「北風と太陽」からこじつけてみたいと思う。笑

さて、労働契約書と就業規則がどちらが強いかと喧嘩をしていた。
労働契約書は労働者と個別に締結した契約になるので、「俺には労働者の署名もある!」と自信満々だ。

就業規則は社員全体を包む規則ということになる。労働者のみなさんには周知されているのに、ほとんど自分を読んでくれる人はいない・・・

しかし、就業規則はニコニコとしている。
書棚の片隅で、あまり皆さんからは気にされないが、じっとみんなを見守っている。

そう、あの太陽のようだ。

労働契約書は相変わらず自信に満ちていて、「俺の方が存在感あるし、労使の契約の中心だ!お前(就業規則)なんか5年前に作ったきりほっとかれてるだろ!」と就業規則に迫るのだが、やっぱり就業規則はニコニコと笑うだけ。

その笑顔は、あの旅人のコートを脱がせた時の太陽のように勝利を確信しているようだった。

労働契約法12条には、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と規定されている。

少し難しくなるが、この条文は就業規則の規範的効力を規定しているということになるのだが、この「規範的効力」を社員に説明するときに、「合意を無効にする法的効力」、「合意をも覆す力」などと説明している。

つまり、署名があって合意が明確な労働契約書であっても、それを覆して無効にしてしまう力を持っているというのが就業規則ということになる。

労働契約法12条によれば、労働契約書よりも労働者に有利な内容の就業規則があって、それがきちんと周知されていれば、就業規則が労働契約書を上書きしてしまうということになる。
つまり、いいとこだけ上書きされるという恐ろしい事態に陥ることになる。

北風のように全身精霊で労働契約書に記載をして安心していてはダメだということだ。
太陽のようにみんなを照らす就業規則、部屋の片隅で脚光を浴びることなくニコニコしている就業規則が勝利してしまうからだ。

つまり、この労働契約書、就業規則は喧嘩させてはダメで、仲良く合致させておかないとならないということになる。
喧嘩させれば、必ず就業規則が勝利してしまうことになる。

みなさん!

部屋の片隅にある就業規則をもう少し可愛がってあげてください!
むしろ、労働契約書や実態と合っていない就業規則などない方がいいということになるんです。

もう一度、太陽のようにニコニコしている就業規則を見直してみては如何でしょうか?



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