二〇一六年四月 漆
scene 111そんなふうにわいわいやっているところへ、木村が部室へ入ってきた。
「失礼しまーす」
練習生として入部した木村は、三ヶ月ほど経ってだいぶ学院の軽音楽部に慣れてきた。ギターの腕も確実に上達している。
「タクミー、新入部員だよう」
菖蒲がニコニコして木村に伝える。
「三浦ナルヨシです、よろしくおねがいします」
「三浦ケイトです、はじめましてよろしく」
「あ、れ、練習生の木村拓海です」
「練習生なんてつけなくていいって、タクミはれっきとした部員だから」
菖蒲は唯一の