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ストレート・フラッシュ

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ロックバンドを脱退して、東北の田舎町にお婿さんとしてやってきた俺。
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#男装女子

二〇一六年四月 壱

scene 96四月になって年度が改まり、社会人二年目がスタートした。生徒の姿のない学校で、俺は…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 弐

scene 99理事長の車に小川や中島医師とともに乗り込み、俺の運転で一時帰宅する。先に話は通し…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 参

scene 101それから一週間後、入学式の前日、再び三浦家が石川宗家の門をくぐった。市役所で転…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 肆

scene 103その日、帰宅すると雪江と祖母が夕飯の支度をしていて、ケイトとナルヨシも手伝いを…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 伍

scene 105担任するクラスは一年一組から二年一組に変わっているが、学院は三年間クラス替えを…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 陸

scene 108翌日、放課後を待ちかねたかのように教員室で小川が話しかけてくる。 「石川さん、さ…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年四月 漆

scene 111そんなふうにわいわいやっているところへ、木村が部室へ入ってきた。 「失礼しまーす」 練習生として入部した木村は、三ヶ月ほど経ってだいぶ学院の軽音楽部に慣れてきた。ギターの腕も確実に上達している。 「タクミー、新入部員だよう」 菖蒲がニコニコして木村に伝える。 「三浦ナルヨシです、よろしくおねがいします」 「三浦ケイトです、はじめましてよろしく」 「あ、れ、練習生の木村拓海です」 「練習生なんてつけなくていいって、タクミはれっきとした部員だから」 菖蒲は唯一の

二〇一六年五月 壱

scene 113ケイトとナルヨシを学院に迎えたが、拍子抜けするくらい何事もなく四月は過ぎていき…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年五月 弐

scene 115次の日、両親は朝食のあと会合へ出かけていった。ナルヨシから早く行きたいオーラが…

市川電蔵
4年前
4

二〇一六年五月 参

scene 118やはり帰りは夕方になった。居間では雪江とケイトがテレビを観ている。ケイトの友達…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年五月 肆

scene 121ナルヨシの友人とキョースケセンパイご夫婦がやってくる日だ。昨日は一家総出でのう…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年六月

scene 124中間考査も終わり、街を初夏の陽気が包む。この季節は、山形名産のさくらんぼの収穫…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年七月

scene 126一学期の期末テストも終わり、山形の夏が始まる。思えば、去年の今頃西川の就職面接…

市川電蔵
4年前
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二〇一六年八月 壱

scene 128八月に入って最初の週末に、ケイトとナルヨシは川崎市の自宅へ帰省する。一週間ほど自宅で過ごした後、三浦家全員で寒河江を訪れる予定だ。本来なら寒河江駅できっぷを買って左沢線で山形駅へ行くところだが、両親が持たせた山形みやげの詰まった紙袋が三つもあり、大荷物になったので車で山形駅へ送っていくことになった。 石川宗家には選挙活動に使っているミニバンがあるので、これに両親と俺達、ケイトとナルヨシの六人が乗る準備をしている。いつの間に連絡したものやら、孫兵衛さんが現れて