【Excel】え、ついに?! 間にスペースのない氏名や住所を分割する★
こんにちは、HARUです!
実務では、名簿の氏名を「姓」と「名」に分けたり、住所を「都道府県名」と「市区町村名(以降)」に分けたりすることがありますよね。
苗字と名前の間にスペースなどの共通の文字列がある場合や、苗字の文字数が同じ場合はExcelの標準機能または文字列操作関数を使って分割できますが、いずれの要件も満たしていないと、こうした処理を行うのは容易ではありません。
そこで今回は、間にスペースがない氏名や住所の文字列を要素ごとに分割する方法をご紹介します。
現代を生きるビジネスパーソンにとって不可欠なスキルセットを使っていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
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氏名の間にスペースが「ある」場合
本題に入る前に、苗字と名前の間にスペースなど基準となる文字列がある場合の対処法を簡単におさらいしておきましょう。
フラッシュフィル
1つ目は「フラッシュフィル」です。
①先頭の氏名のみ、姓と名を直接入力します。
②"姓"をアクティブにして[Ctrl]+[E]を押します。
これにより、A列に入力されたすべての氏名のうち、姓の部分が一括で取り出されます。
③"名"をアクティブにして、同じく[Ctrl]+[E]を押します。
これにより、A列に入力されたすべての氏名のうち、名の部分が一括で取り出されます。
いま使った[Ctrl]+[E]は、「フラッシュフィル」という機能を実行するショートカットキーです。フラッシュフィルは、サンプルデータをもとに、そのサンプルと同じ規則性を持って値を自動入力する役割を持っています。
※ショートカットキーはExcel2013以降のバージョンが対象です。
今回の例でいえば、B2セルに入れたサンプルから、氏名の中で半角スペースの左側にある文字列を取り出すんだとExcelが判断し、すべての「姓」を返してくれます。
また、C2セルに入れたサンプルから、氏名の中で半角スペースの右側にある文字列を取り出すんだとExcelが判断し、すべての「名」を返してくれるんですね。
区切り位置
続いては、「区切り位置」です。
①A列の氏名を一度、B列の姓の欄にコピーします。
②B列の"姓"が選択された状態のまま、「データ」タブ→「区切り位置」のアイコンをクリックします。
「区切り位置指定ウィザード」ダイアログボックスが開きます。
③1ページ目の画面では特に何も設定せず、右下の「次へ」を押します。
④2ページ目の画面で、区切り文字をデフォルトの「タブ」から「スペース」に変更して、「次へ」を押します。
⑤3ページ目の画面は特に何も触らず、右下の「完了」で実行します。
⑥下図のポップアップは「OK」でスルーします。
これにより、B列の氏名が姓と名に分かれます。
一連の手順をご覧いただいた通り「区切り位置」は、特定の文字列や符号を基準に文字列を分割する機能です。
CSVファイルなどで取得したデータをカンマを基準に切り分けたり、PDFファイルのデータをコピーして半角スペースを基準に切り分けたりするシーンで重宝します。
※フラッシュフィルや区切り位置は比較的かんたんな操作で実行できますが、アウトプットはあくまで「値」データなので、元の氏名で苗字が変更になった場合などはその都度同じ処理を行う、または直接手直しする必要があります。
文字列操作関数①
こんなときは、文字列操作関数を使って元データと連動するしくみが理想的です。
①"姓"の欄に次の数式を入力します。【=LEFT(A2,FIND(" ",A2)-1)】
「A列の氏名において半角スペースが左から何番目にあるかをFIND関数で調べ、その文字数から半角スペースの1文字分を差し引いた数をLEFT関数で取り出す。」という指示を出しています。
結果、氏名における姓の部分だけを取得できます。
②"名"の欄に次の数式を入力します。【=RIGHT(A2,LEN(A2)-FIND(" ",A2))】
「A列の氏名において半角スペースが左から何番目にあるかをFIND関数で調べ、その値をLEN関数で数えた氏名全体の文字数から差し引く。その差し引いた文字数分だけRIGHT関数で右から取り出す。」という指示を出しています。
結果、氏名における名の部分だけを取得できます。
③それぞれの数式を下へコピーします。
すべての氏名が、姓と名に分割されます。
数式としてアウトプットしてしまえば、たとえ元データの内容が変更された場合でも連動して更新されます。
文字列操作関数②
Microsoft365の最新バージョンをお使いであれば、文字列操作に適した動的配列数式が使えます。
①"姓"の欄に次の数式を入力します。【=TEXTBEFORE(A2," ")】
TEXTBEFORE関数は、第1引数「text」に参照した文字列において、第2引数「delimiter」に指示する区切り文字より前のデータを取得する役割を持っています。
結果、textとして参照した「氏名」において、delimiterとして指示した「半角スペース」より前にある文字列、要は"姓"の部分が取り出せます。
なお、第1引数の参照元を氏名のリストすべてに拡張すると、すべての姓がスピルで生成されます。
②"名"の欄に次の数式を入力します。【=TEXTAFTER(A2," ")】
TEXTAFTER関数は、第1引数「text」に参照した文字列において、第2引数「delimiter」に指示する区切り文字より後のデータを取得する役割を持っています。
結果、textとして参照した「氏名」において、delimiterとして指示した「半角スペース」より後にある文字列、要は"名"の部分が取り出せます。
TEXTAFTER関数も、第1引数にすべての氏名を参照すれば、名がスピルで生成されます。
ちなみに、一連の操作はTEXTSPLIT関数でも代用できます。
TEXTSPLIT関数は、第1引数「text」に参照した文字列を、第2引数「delimiter」に指示する区切り文字で分割する役割を持っています。
結果、textとして参照した「氏名」を、delimiterとして指示した「半角スペース」で分割し、"姓"と"名"を切り分けて取り出してくれます。
他の範囲に数式をコピーして完成です。
都道府県名を取り出す
住所の表記は都道府県名や市区町村、番地の情報が間髪入れずに連なっていることがほとんどなので、ここまで解説した手順では正確に取り出すことはできません。
ただし、都道府県名だけを取得するのであれば、次の方法があります。
住所①(都道府県名)の欄に次の数式を入力します。【=IF(MID(D2,4,1)="県",LEFT(D2,4),LEFT(D2,3))】
まず、日本に存在する47の都道府県名の特長として、以下が挙げられます。
都道府県名が4文字なのは"神奈川県"、"和歌山県"、"鹿児島県"のみ。
4文字の都道府県はすべて"県"で終わる。
日本に存在する自治体において、都道府県名のあとに続けて"県"で始まる市区町村はない。
これらの前提条件から、「住所の左から4文字目をMID関数で1文字だけ取り出したときに、その文字列が"県"であれば、"神奈川県"、"和歌山県"、"鹿児島県"に該当するため左から4文字取り出し、それ以外は左から3文字取り出せばよい。」という論理式が成り立つのですね。
数式を下へコピーすると、すべての都道府県名が正確に取り出せていることがわかります。
氏名の間にスペースが「ない」場合
さてここからは、苗字と名前の間にスペースがないケースの対処法です。
結論、これからの時代は生成AIの底力に頼ってしまうことをおススメします。
今回使うのは「ChatGPT 3.5」です。
無課金で使えるモデルですので、ぜひ安心してお付き合いください。
事前設定
生成AIの業務利用時は、組織内のセキュリティ対策を確認の上、個人情報や企業機密の取り扱いに注意しましょう。
特に個人PCのWEBブラウザなど、保護環境のないChatGPTを使用する場合、機密情報部分をダミーデータに置き換え、あらかじめ次の設定を行いましょう。
①ChatGPTのホーム画面左下にあるアカウント名をクリックして、「設定」を選択。
②開かれた画面左側で「データ制御」に切り替え、「チャット履歴とトレーニング」をOFFにする。
ホーム画面左上に以下のように表示され、メッセージ入力欄の背景がブラックになったら、設定は完了です。
この作業は「オプトアウト」といって、入力したデータをAIが学習して情報が漏洩してしまわないよう、履歴とトレーニング機能を拒絶する役割を持っています。
特に今回のような氏名や住所などの個人(顧客)情報を含むケースでは、確実に設定しておいてください。
※履歴やトレーニング機能をOFFにしても、不正利用がなかったかを確認するため、30日間は外部にデータが残ります。機密情報のダミーデータへの置き換えとあわせて、細心の注意を払いましょう。
氏名の分割
それでは実際にChatGPTと使って、苗字と名前の間にスペースがない氏名の文字列を分割していきましょう。
①メッセージ欄に次のプロンプトを入力します。
②メッセージを送信します。
ChatGPTが即座にアウトプットを出してくれます。
③出力された"姓"と"名"を選択して、[Ctrl]+[C]でコピーします。
④Excelに切り替え、"姓"の先頭セルをアクティブにします。
このとき、[Ctrl]+[V]ですべての要素を貼り付けると書式が上書きされてしまいます。
Excelのワークシートに貼り付けるときは、右クリックして「貼り付け先の書式に合わせる」で実行します。
Microsoft365の最新バージョンをお使いの方は、[Ctrl]+[Shift]+[V]で値貼り付けができるようになっていますので、活用してみてください。
住所の分割
住所については、都道府県名、都市名、それ以降、の3つに分割していきます。
①メッセージ欄に次のプロンプトを入力します。
②メッセージを送信します。
③ChatGPTのアウトプットをコピーします。
④Excelに切り替えて、住所①の先頭セルを起点に値貼り付けします。
………ものすごく簡単ですよね!
改めて全体の出力結果を見てみましょう。
氏名は苗字と名前の文字数に関わらず正しく分割できていますし、住所も都道府県名のあとは"市"でという指示しかしていないのに、区が該当するものは"区"、郡が該当するものは"群"、といったようにしっかり例外対応もしてくれています。
もちろん必ずしも100%正確なアウトプットが出てくるわけではないので最終チェックは必要ですが、人間の手でイチから1つずつ手入力していくよりも断然効率的ですよね。
トレンドの生成AIをいまひとつ使いこなせていないという方は、こうしたライトなユースケースから実践していきましょう!
また、本記事で「Microsoft Office × AI」活用の一歩を踏み出された方は、生成AIのビジネス応用術を網羅的に学べる下記の講座を必ずチェックしてみてください。
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いかがでしたか?
今回は、間にスペースなど基準となる文字列がない氏名や住所を要素ごとに分割する方法をご紹介しました。
氏名や住所に限らず、メールアドレスや商品の管理コードなどにも応用できるテクニックですので、実務で出くわすシーンに応じて使い分けてみてください!
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※本記事の委細が動画収録当時のバージョン・解説内容と異なる場合があります。
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