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えびちゅうって良いよなー

 9月、自分の好きなものを他の人にも好きって言ってもらえた経験と、自分の好きなものの良さを他の人にもわかってもらうのって難しいなぁと感じた経験が、どちらもありました。
 もともと「布教したい!」とか「もっと評価されるべき!」とかはあまり思わないし、Twitterもnoteも布教目的でやってるわけではないけど、同じものを好きな人がいるっていうのはやっぱり嬉しいし、なかなか伝わらないのもやっぱり悔しい。

 そんな中でたまたま「えびちゅう楽曲大賞」というファン有志企画が開催されまして、私も投票したので、投票時に書いたコメントを流用して私の「好き」を伝える記事をひとつ書いてみるかなーと思った次第。
 あらいみかんさん、企画・集計・総評(というか最初から最後まで全部)本当にありがとうございました。そしてリンク埋め込み失礼します。


 私が投票した曲はこちら。みんな言ってますけど本当に良い曲が多すぎて選べないですね。「今の気分だとこうなった」というだけなんですけど、それでもこの5曲は「えびちゅうマイベスト10曲を選べ」と言われたら必ず入るかなー。

①紅の詩
②EBINOMICS
③曇天
④お願いジーザス
⑤宇宙は砂時計

 なんか傾向とかありますかね。どうでしょう。昔は音楽の好みがかなり狭かったんですが、えびちゅうを好きになってからまあまあ雑多に聞くようになった気がします。ジャンルによる好き嫌いはあんまりない方かなと。クラシックは眠くなるので聞きませんが。

 さて、この企画では曲の良さを語るコメント欄がありましたが、書いている途中で自分だけコメントのテンションがキモいんじゃないかという気がしてきて恥ずかしくなったので、コメントありだけど匿名っていう形で投票してしまいました。こういうことを考えちゃうところはもう治らなそう。
 で、もともと考えてたコメントがコメント欄の枠を超えてしまったので、これはこれで自分のnoteにでも載せればいっかと思いつつ削って投票しました。ここにはその削る前のコメント(+α)を載せます。
 お暇なときにどうぞ。



①紅の詩

作詞・作曲:TAKUYA
編曲:Keisuke Iizuka・TAKUYA

 楽曲提供者であるTAKUYAさんがどういう思いを込めたかとかダブルミーニング/トリプルミーニングになってるみたいな話はどこかで読めた気がするので、それは別で楽しんでもらうとして、以下はそれを全無視して私なりに考えた歌詞のテーマのようなもの(無視しきれてないかもしれませんが)。

 煌びやかで華やかなハープ(?)とホーンセクションによる開演の合図、直後から縦横無尽に暴れ回るギターとドラム、2Aで突然変わるオケのリズム。彼女らを取り巻く状況はいつもそうやって目まぐるしく変化していって如何ともし難い。しかし、足がすくみながらも立ち上がらなければならない。振り回されながらも全身全霊で舞わざるを得ない。フロントマンである彼女らの宿命。生きてる証(血=紅)を示すために演じ続ける。

 以前からずっとそういうテーマをこの曲に感じていたとかではなくて最近聞き返してこう感じたもの。歌詞のフレーズを全部無理なく説明できるとは思ってないし、むしろいろんな読みと語りを許容する歌詞かなと思っているので、また今度聞いたときには全然違うテーマの曲に思えるかも。
 それにしても「振り舞わされてます」って歌詞よ...。

 ですます調かと思いきやそうでない口調が続く。聞いたことのない言葉の組合せ。徐々に〈意味〉から逸脱していく感覚。多方面からいろいろな素材を取ってきて、部分部分だけでは判然としないながらも統一感をもって模様を浮かび上がらせるモザイク画(?)のように、何のことを歌ってるか分からないようで、なぜかなんとなく情景が浮かぶ。しかし単一のストーリーに固定されない。参照元を想起させつつも単なる焼き直しに終始しない。ひたすらに不思議な歌詞で、何度聞いても面白い。
 こういう、〈歌〉という表現手法だからこそ成立してる詩って凄いなと思う。

 大好きな曲だけど、正直なところこの曲に関する特別な思い出とかはない。あと『紅の豚』も見たことない(笑)。
 でも、昔iPodで1番再生してたのは柏木ひなたソロバージョンの紅の詩だったな。


②EBINOMICS

作詞・作曲:栗原暁(Jazzin'park)・久保田慎吾(Jazzin'park)・Tasuku Maeda
編曲:久保田慎吾・栗原暁

 Aメロのファンキーなギター&ベースを聞く度に毎回体の内側からじわじわボルテージ上がっていく感じがある。最初からテンションMAXの曲よりこういう曲に惹かれる。
 Bメロの2人ユニゾンで更に1段階ギアが上がる。その後ろで鳴ってるシンセ(?)のオブリガードも超かっこいい。「今日も働いちゃうぞ〜」辺りのオケが良すぎて、サビ直前の弾けるような音で脳汁出る。あとはもうサビでただ踊り狂うだけ。
 頭空っぽにして聞ける&とにかく踊れる(振りコピもしやすい)ディスコチューンで、もう最高ミュージックというよりほかはないわけですが、私はプライベート的にも仕事的にも人生で1番しんどい時期にたまたま通勤しながらこの曲に聞いていて、「今日もちょっとだけ頑張って生きてみようかな」っていう一握りの元気をもらってなんとか生きていたので、聞く度にしんどさがフラッシュバックするし、反動で「俺今生きててよかったなぁ」と思う。そして絶対泣く。現場にEBINOMICSで泣いてる全力振りコピおじさんがいたら私です。優しくしてあげましょう。


③曇天

作詞・作曲:吉澤嘉代子
編曲:野村陽一郎

 言うまでもないけど本当に歌詞が良い。
 特殊な言葉は全く使われていないけど、情景の捉え方と描写力が凄まじい。「電気を消せば窓枠が曇天世界を切りとる」で窓の外の風景を切り取ってるように見せて部屋の中を切り取ってるところ(たぶん)とか鳥肌。一瞬で情景が浮かぶこのフレーズを冒頭に持ってくる吉澤嘉代子さん...。

 みんな好きなんじゃないかと思うけど、「ポケットに入れたままの 言葉をひろげてみたけれど すぐに偽物と気づいて 駅のゴミ箱に棄てた」、これも凄い。「ポケットに入れる」って、体に近いところで持っている感じがあってなんとなく大切にしてそうな気がするけど実はそうでもなくて、むしろ「入れたまま」にしてる時点であまり大切にしてない。脱ぎっぱなしのズボンのポケットの中でクシャッとなった紙屑みたいな。手を突っ込んだら、捨て忘れたガムの包み紙の存在に気づいたときのアレ。

 たぶん「ケセラセラのおまじない」は、途中までは〈「あなた」との関係に関するぼんやりした不安も、そのうち解消されて上手くいくだろう〉と言い聞かせるニュアンスだと思うけど、自分の理想としているものが偽物だって気づいた後の、最後の「ケセラセララ」は、本当に〈なるようになるさ〉という意味で、曇天の向こうを眼差す晴れやかさがある。それでいて〈寂しさがゼロってわけじゃないけどね〉って感じを含ませる真山さんの「ねぇ ケセラセララ」に脱帽。タイトルが晴天とか雨上がりとかじゃなくて「曇天」なのも納得かも。

 そういう機微を表現できる6人の歌声も本当に凄い。真山さんの印象が強い曲だけど、特に柏木ひなたさんが凄いと思う。6人時代の音源の中で柏木ひなたさんの歌唱力が1番味わえるのはこの曲(当社調べ)。「電気を消せば」の短いフレーズの中にもニュアンスの変化がたくさんあるし、「背中にさわると」の淡々としてる歌い回しと語尾の声の抜き方が艶っぽい。「あの人を信じたいけれど」の語尾のグルーヴ感もたまらん。

 あと間奏のギターが超エモい。こんなにしんどいギターはない。私にとっての「エモ」はどうすることもできない苦しさをはらむもの。巷に溢れる「エモい」はただの「胸アツ」であって「エモ」ではない。エモとはこのギターのこと。


④お願いジーザス

作詞・作曲:加藤慎一(フジファブリック)
編曲:フジファブリック

 こんなに寄り添ってくれる曲はなかなかないと思う。
 個人的には過去の苦しみを今の視点から振り返って美化する系の青春像があまり好きではなくて、苦しみを苦しみのまま描いてくれて、それでいて前を向くエネルギーを与えてくれる曲に惹かれる。この曲はその最たるもの。
 やっぱり学生時代のいろんな苦い出来事が思い出されて、ああいう感情を抱くことは今はもうないなーってなるけど、あれは苦しみのままでいいんだって思えてちょっと楽になる。

 「神様」じゃなくて「ジーザス」なのもいい。「神様」だとすごく重すぎる訴えになる一方で、言葉選びとして安易な感じがしてしまうけど、「ジーザス」だと友達の名前を呼んでるみたいな気軽さもありつつ、切実さは残る気がする。
 あと間奏のギターがエモい。エモとはこのギターのこと。

※ちなみに別の機会に書いたのが以下の記事。投票にあたって読み返したりはしてないので、上のコメントと書いてることが全然違ってたらご容赦ください。


⑤宇宙は砂時計

作詞・作曲:キタニタツヤ
編曲:キタニタツヤ・笹川真生

 名曲。
 楽曲・演奏も良し、歌詞も良し、歌唱も良し。完璧すぎる。無駄も隙もないけど余白はあって、本当に味わい深い。

 砂時計みたいに時間はどんどん進んでいって、だけどひっくり返すことはできない。ガラス張りの空(砂時計のガラス)の外には神様はいないから。だけど、「意味のない空想」ならどこへでも行ける。そういう「意味」に囚われないものこそが自分や他人を救うきっかけになるのかも。みたいなことを初めて聞いた時に考えたりした。
 人は意味なしには生きていけないし、いろんなものに過剰に意味を見出してしまいがちだけど、通約可能な意味(「意味」のあるもの)ではなくて、自分にとっての固有の意味(他者から見ると「意味のない空想」)というか、自分の中の本当に大切なもの(「僕の中でいじけてる君」?)にちゃんと目を向けたいなぁと。

 「ここに神様はいない」という歌詞に反して、祈りのような1曲だなと感じる。

 あとイントロ・アウトロの逆再生っぽい音を逆再生で聞いたことがないのでどうにかして聞きたい。



 なんとなく思い出込みでの選曲・コメントが多く集まりそうな気がしたので、そうじゃないコメントが少しくらいあってもいいかなと思ったのと、自分自身が思い出を語るのがあまり得意じゃないのとで(他の人の語りを読むのは好き)、いろいろ考えてたらこういう感じになりました。
 正直こういう企画の時やらnoteを書く時じゃない限り、歌詞をちゃんと読んだり楽曲をしっかり聞いたりとかしないので的外れなところもあるかもしれませんが、まぁそこが私の感性と表現力の限界です。

 ちなみに個人的な6〜10位はこちら。気が向いたらこの5曲のコメントも書くかなー。

⑥蛍の光(Demo)
⑦新未来センセーション
⑧へロー
⑨藍色のMonday
⑩DRAMA QUEEN

 久々のえびちゅう関連の投稿でした

 それでは。

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