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涙の行方

今の話が昔の話になった。


大好きだった彼にお別れを告げられた。


半年というあっという間な時間だったけど、思い出すと全部幸せで大切な思い出ばかりだな〜と笑顔と涙でぐちゃぐちゃになった。


この1ヶ月、彼の言動からもわたしへの気持ちが少なくなっていることは感じていたし、彼の仕事やしたいことに集中したい気持ちが膨らんで、そのタイミングが重なってこういう終わりになったんだと思う。


わたしは電話で終わりにするより会ってちゃんと話し合って終わりにしたかったからこの電話から1週間後に会う約束をした。

その1週間でいろんな人の話を聞いたり、自分でたくさん、本当にたくさん考えた。
自分のことも。彼のことも。これからのことも。

会っても気持ちは変わらない。と言っていたし、わたしもそうだろうと思っていたけど、最後に目を見て彼と話がしたかったし、気持ちを確認し合いたかった。

案の定彼の気持ちは1週間前のままだったけれど、彼が美味しそうにご飯を食べる姿が見れたり、今まであまり聞かなかった仕事の大変なことを聞けたり、彼の笑っている姿が見れて、やっぱり最後に会って良かったな、と思った。


忘れないように確かめ合いたかったな。


わたしが寂しくなって何度も電話をかけたこと。
会いたいと何度も言ったこと。
勝手に寂しくなってネガティブを吐き出したこと。

彼はたまに気分の良い声色ではなかったけれど、何度も否定せずに受け止めてくれていた。
わたしも彼と良い距離感を保てるようにしようと思っていたけど行動に移すのが遅かったらしく彼には伝わらないままになってしまった。
このお別れに至るまでわたしにも非があったことは十分理解しています。


遊びに行ったり朝帰りの日は必ず連絡を入れてくれていたこと。
わたしの勧めた音楽を必ず聴いてくれたこと。
自分の煙草の前にわたしのに火をつけてくれること。
薬を飲む時間に連絡をくれていたこと。
他にも思い出すとたくさん、たくさんある。


彼がわたしのためにしてくれた優しさは数えきれないほどあると日々感じてたよ。本当にありがとう。



彼は別れ話の電話で、◯◯ちゃんは悪くない。◯◯ちゃんと別れて後悔するんだろうな〜。◯◯ちゃんと結婚したら幸せになるんだと思う。会ったら意思が揺らいじゃうと思う。と言った。

言われた瞬間、なんでそんなこと言うの?なんでそんな気持ちでお別れするの?と思った。

なんでそんなこと言うんだろうってその時は思っていたけど、その1週間考えてみれば、そういえば彼はいつだってすごく優しい人だったな、と思い出した。

きっと、あれが彼の精一杯だったんだと思った。

顔を見ずに電話で別れを伝えることも、わたしを傷つけないような言葉を投げかけて終わりにするのも、全部。全部全部。

別れ話の電話も無理に電話を切ろうとしなかった。
大好きだった優しい声で名前を呼んでくれた。


彼が、◯◯ちゃんに思ったことは全部言って欲しいって言ったけど、俺は言えてなかったな。と言われて、わたしも言われないと気付かないよ。って伝えたんだけどなって思ったんだけど。

もしかしたら昔から思ったことを言えてこなかったのかな?相手の気持ちを考えたら言えなくなってしまう人なのかな?と思った。
育った環境が違うので彼の頭の中は何も分からないんだけど。
彼の言動の節々から感じる優しさや、人に気を遣いがちな優しいところがあるのはわたしもこの半年間で知れたから、わたしももっと前からいろんなことに気付いてあげられたら良かったな、と自分ばかりになってしまっていたかも、と今更ながら反省中。


自分の気持ちばかりになってしまってごめんね。


彼の言動はそんな深く考えていなかったものだったかもしれないけど、わたしがそう思ったから、それを信じようと思う。

失ってから気付いてももう遅い。と最近よく聞く言葉ですが、わたしはちゃんと分かった上で生きていたつもりだったんだけど、恋愛はそう上手くもいかないものですね。


きっと彼はわたしがいなくても毎日楽しいんだと思う。

したかった好きな仕事をして、これからのしたい将来のこともあって、趣味で始めたDJも続けていて、たくさんいる仲の良い友達や先輩と遊んで。

わたしがいなくても彼の毎日はずっとキラキラしていた。

わたしがいることによってその日々がもっとキラキラしたらいいな、なんて思っていたけど彼に今のわたしは必要ではなかったみたいです。


彼の思う幸せの一部にわたしもいられたらいいな、彼と一緒に幸せを築いていけたらいいな、なんて一方的に思っていたけど。だけど。

これからの彼が幸せならそれでいいな、と思った。

わたしがいなくても、彼が毎日安全に健康に生きて、好きな仕事をして、友達と楽しく過ごして、新しい好きな人と思い出を作って、彼の生活が幸せで溢れたらいい、それでいいなと思った。それがいいなと思った。

好きな人が幸せならそれでいい。それだけでいい。

彼の毎日に笑顔が絶えなかったら良いなと思う。
だってわたし、彼の笑っている顔が好きだった。
大好きだったんだもん。


5月の1ヶ月間彼の気持ちが分からなかった。

でも彼とお付き合いをする中での辛いという経験があったおかげで、わたしは今までの変わりたかった自分を変えるきっかけを与えて貰った。

そのきっかけをちゃんと自分のものにできるように現在、自分なりに努力中。

そうやって少しずつでも変わっていく努力ができている自分を実感できることが嬉しかった。



わたしが彼と出会った意味はこれだったのかもしれない。

わたしは彼に何か与えてあげられただろうか?

わたしを変えるきっかけをくれてありがとう。
変わる前のわたしを好きになってくれてありがとう。

やっぱり彼には感謝の気持ちでいっぱいです。


数年前を知っている友人たち数人にも『◯◯ちゃん変わったね、強くなったね』とたくさん言ってもらえた。

そうやって自分の嫌いだった変わりたい自分とおさらばできていっていることが嬉しかった。

きっと彼と出会わなかったら、彼とお別れしなかったら、このことにも気付けないままでいただろう。

ある程度大人になると、自分の成長を感じるタイミングってそうそうないっぽいのでわたしはかなり貴重な経験が出来たな、とまた彼に感謝の気持ちでいっぱいになった。


彼とお別れして悲しくないって言ったら嘘になる。

けどこの辛い経験って誰もができるわけじゃない貴重で大事な経験なんだよね。

わたしに、また強くなる、優しくなれる、成長できる経験をさせてくれてありがとう。


彼と離れてたくさん泣いた。大丈夫だと思っても不意に涙が出た。

けど、こんなにも涙が出るほど大好きだと思える人に出会えるってすごいことなんだよ?
彼と出会わない世界線があったんだと思うと、彼と出会えただけでわたしは幸せ者だね。

彼と出会ったこと。彼もわたしを好きになってくれたこと。彼と幸せな日々を過ごしたこと。


全部全部、奇跡の連続だった。


お別れは悲しく寂しいことだけど、きっとこのお別れはふたりにとって必然だったんだと思う。

悲しいだけのものにしたくない。
だってわたしたち幸せだったじゃない?
必然を運命に変えていく。
いつでも終わりは何かの始まりでしょ?


もう一度辛く悲しい経験をして、まだわたしには知らない感情があったんだ、わたしにはもっと成長できるところがあるんだ、と自分の人間としての伸び代を感じて少しだけ前を向けた気がした。

見た目はもちろんもっと綺麗で可愛くなりたいと思うし、いろんな感情や言葉や選択肢を知って、もっと広くて深い心を育てていきたいと思う。

もっともっと魅力的なわたしになりたい。
また、誰かがわたしに恋をすると思う。


今でもわたしは十分幸せなんだけど、わたしもっと幸せになれるっぽい!まだまだ人生長いしね!

今よりもっと自分のことを幸せにしてあげたい。
大切な人たちにたくさん幸せを共有したい。
もっともっと知らないことを詰め込みたい。
大好きな人たちにたくさん恩返しがしたい。
この世に後悔なく未練なく死にたい。

意外にもわたしはポジティブだったんだ、と最近気付いた。そんなわたしが好き!


最後に会った日、彼にしては珍しく仕事の大変なことをたくさん話してくれて、会っている途中電話もかかってきていたし、そんな中わたしとの時間を作ってくれたことに感謝と少し申し訳ない気持ちが生まれた。

彼は、俺メンタル強いから、と言っているけど、頑張りすぎたら知らないうちに人間は壊れてしまうものなので、ヒビが入ってしまう前に弱さを見せられる人が見つかったらいいな、と思っています。もういるかもしれないけどね?


弱さを見せ合えることが強さになるってこと。わたしは知っています。


''恋人''という関係性ではなくなってしまったけれど、わたしは彼の将来を心から応援しているし、どんなことがあってもわたしは彼の味方です。


付き合った日、わたしは彼に『わたしの知ってる愛、全部あなたにあげる』と伝えた。

彼とお別れをして、彼を応援することが、彼の幸せを願うことが、わたしが彼にあげられる最後の愛な気がした。


わたし、もっともっと愛でいっぱいな人間になるよ。


彼はわたしに未練なんてないと思うけど、それでも、わたしはいつでも彼の味方だから、仕事が大変ならいつだって愚痴を聞くし、誰かと会って気分が楽になるなら彼の力になりたいな、と思う。

彼にもうわたしは必要ではないかもしれないけど、せっかく出会った縁だから、それはきっと無駄じゃないと思うから、何か力になれるかもしれないから、気軽に連絡してくれたらいいな、なんて思ったりしています。




あーあ!大好きだったな!これからもずっと一緒にいたかったな!隣にいたかったな!ふたりで幸せになりたかったな!

この世にはたくさん素敵な方がいるし、彼はまたすぐ誰かを好きになるんだろうと思う。

今の彼の隣にいるのは今のわたしではなかったみたいです!

人は必要なタイミングで必要な人と出会うようになっているらしい。


彼と2回目に遊んだときにこの曲良いんだよね〜!と彼が車で流した曲。

今なら分かる彼の音楽の趣味とはかけ離れたバンドのこの曲、ふたりで歌詞を見ながら聴いていたとき、『さっき会ったばかりなのにまたすぐに君に会いたくなる』の文字が出てきた瞬間恥ずかしそうに歌詞欄を閉じたこと。

彼はもう忘れていると思うけど、ずっとわたしのお守りだった。

そんな可愛いところも好きだったな、と思い出して笑顔になる。


そういえば、お別れをしてから一度あなたが夢に出てきたよ。
あなたはどんな夢を見てる?


彼は自分勝手でごめんね。と言ったけど、人間そんなもんだよ。みんな自分の幸せのために生きてるんだもん。そのまま素直なあなたのままでいてね。

ふたりで始めたものなのに、終わりはひとりで決まっていくもの。
恋愛の大体がきっとそういうものなんだよね。
難しいね、恋愛って(笑)


''忘れたい でも忘れない こんな想いをなんと呼ぶのかい''


恋が愛に変わる瞬間をわたしは見た。

大好きでした。ありがとう。幸せでいてね。


5.31

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