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「ホキ美術館名品展:驚きの写実絵画」(2022年9月23日,金沢21世紀美術館)

本日の午前中,金沢21世紀美術館で展覧会「ホキ美術館名品展:驚きの写実絵画」を観てきました。

ホキ美術館は千葉県にある写実絵画専門美術館で,創設者の保木将夫さんが収集した約500点からなるコレクションを所蔵しています。個人的に以前から注目していた美術館で,機会があればこちらから行ってみようと思っていた美術館でした。その美術館の名品展が金沢で行われるということで,「これは行かねば」と思い,前売券を買って観てきました。お客さんもとてもよく入っていました(北國新聞社主催の影響も大きいと思いますが)。

展覧会の方は「名品展」の名に相応しく,素晴らしい作品ばかりでした。非常にリアルな作品の連続で,会場のあちこちから「すごいねぇ」という声なき声が聞こえてくるような感じの展覧会でした。

作品を観ながら「みんな同じ写実作品なのに,どの作品も違う」ということの面白さを感じました。きっと展示作品がすべて写真だったとしたら,もっと退屈に感じたのではと思います。非常に写実的だけれども,写真とは根本的な部分で違う,ということをしっかり感じ取ることのできる人間の目の力の面白さも感じました。

1つずつ違うと感じるのは,まず,モチーフの選び方に個性があることによります。風景画(風景画だけれども日常的な風景なのか英国の伝統的な景観なのが),女性の肖像,静物画...各作家ごとに「得意分野」がある感じで,それぞれの画家の各分野への思い入れの強さを感じます。

そして,色合いがかなり違います。カメラのレンズに取りつけるフィルターのようなものかもしれません。例えば,森本草介さん作品だと少しセピア色っぽい感じがします。ちなみに森本草介さん(既に亡くなられています)は,石川県出身の画家・森本仁平さんの子どもですが,この2人の色合いには共通するような雰囲気があるのも面白いと思います。

チラシのメイン・ビジュアルになっている生島浩さんの「5:55」には,フェルメール風の光を感じます。ものすごく鮮明な写実から淡い感じの写実まで,同じ写実の枠の中で,多彩な表現を楽しめるのが面白いと感じました。

というわけで,美術の表現の一つの極致のような作品群だったのではと思いました。一つだけ,撮影可の写真があったので紹介しましょう。

石黒賢一郎「SHAFT TOWER(赤平)」という作品。旧炭鉱の
施設を描いています。とても清潔でクールな感じ作品でした。

観終わった後はグッズを購入。今回もまた,クリアファイルを購入。いろいろありましたが,結局,生島浩「5:55」にしてみました。その他,家族に実際に手紙を送るために絵葉書を2枚購入。

絵葉書は森本草介さんの「ロットの川面」と原雅幸「マナーハウス」。
前者の柔らかい色合い,後者のクールな色調が気に入りました。

さらに今回は,図録も買ってしまいました。今回の名品展そのものの図録がなかったのは残念でしたが,「5:55」が表紙になっている1900円ほどの図録があったので...ついつい購入。マットな手触りも良い雰囲気でした。

手前にあるのはホキ美術館のリーフレット

ホキ美術館の所蔵作品のそれぞれに個性はあるのですが,その前に,「写実」という大きなくくりの中で統一感があるのが良いと思います。美術館全体ともきっとマッチしているのではと思います。美術館のリーフレットもおいてあったので眺めてみると,建物自体もとても面白そうなデザイン。コロナ禍がもう少し落ち着いたら,いつか行ってみたいなと思っています。

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