バッハからさだまさしまで―オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を中心とした演奏会で取り上げられた音楽の解説集です。音楽の解説書やCDの解説を見ながら,時には主観的な感想やエピ…
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【曲目解説】フランク/前奏曲,フーガと変奏曲 ロ短調, op.18 Franck:Prelude, choral et variations, op.18
1860~62年に書かれた「大オルガンのための6つの作品」の中の第3曲。表題どおり3つの部分から成る作品ですが「変奏曲」の部分は,前奏曲を変奏した形ですので,フーガを中間に挟んだ,A-B-A'の三部形式といえます。各部分は次のとおりです。ビゼーがこの曲を聞いて,フランクを絶賛したというエピソードが残されています。 前奏曲:アンダンティーノ・カンタービレ,8/9拍子。オーボエ管による牧歌的なメロディは,フランクが書いた最も美しいものの一つです。一度聞くと忘れられなくない魅力を
【曲目解説】メシアン/世の終わりのための四重奏曲 Messiaen: Quartet for the End of Time
メシアンが第2次世界大戦の捕虜生活の中で作曲した作品です。20世紀に作られた室内楽曲を代表する作品です。初演は1941年1月に第8-A収容所で行われています。編成がクラリネット,ピアノ,ヴァイオリン,チェロという変則的な形を取っているのは,収容所で書かれたことと関係があります。メシアンと同じ収容所にこれらの奏者が揃っていたことがその理由です。偶然できた編成なのですが,そのことによって不思議な色合いが出てきたとも言えます。 この作品は,旧約聖書の「ヨハネの黙示録」第10章から
【曲目解説】ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ Ravel / Pavane pour une infante défunte
ラヴェルの音楽の中でも,そのメロディの優雅な美しさとタイトルにぴったりの謎めいた気分で特に親しまれている作品です。パヴァーヌというのは16世紀スペインに生まれた宮廷舞曲の一つ。孔雀のように威厳をもって静々と踊られる舞曲です。 オーケストラ曲として馴染んでいる方も多い作品ですが,まず,1899年にピアノ独奏曲として作曲されました。ラヴェル自身,この曲に対して「あまりにもシャブリエ風。貧弱な形式...」と批判的だったのですが,実は愛着もあったようで,1910年に自身で小編成オー