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【ショート・ショート?】月を目指すテントウムシ

遠い遠いどこかの国に、「月を目指すテントウムシ」がいるという。
紺色のサヤ羽に、黒い斑点のある、小さなテントウムシだ。
そのテントウムシは、月が満ち始めるころに生まれ、満月の日に成虫になり、そして新月の夜に死んでしまう。その間、テントウムシたちは
ずうっと月に向かって飛び続ける。飛んで、降りて、また飛んで…。
そうするうちに、朝になれば日陰に隠れて夜まで寝てしまうのだから、
いつ何を食べて、いつ卵を産むのか、人々はみな首をかしげる。
月の光を食べているだとか、月から卵が降ってくるだとか、
そういったうわさは数あれども、本当のことを知るものは、誰もいない。
どちらにせよ、今宵もテントウムシたちは飛び続ける。
届くかもわからぬ月を目指して…。


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