自分たちのヒーロー

これは矛盾だらけで、偏見に満ちた話。

先日、職場の若手と好きな音楽の話になった。彼はMr.Childrenが好きなのだと言う。

「へえ、他には?」
「他は…あんまりないですね。ミスチルばっかり聴いてます」
「えっ?24歳でしょ?なんかこう、あいみょんとか聴かないの?私あいみょん好きだけど」
「いや、あいみょんはあんまり」
「別にあいみょんじゃなくてもいいんだけど、若者の音楽というか。というか、どうしてそんなにミスチルばっかり聴くの?」
「親の影響ですかね」

親の影響。

何ということだ。

遂にそういう世代に出会ってしまった。

Mr.Childrenは、現在42歳の私の世代がド真ん中のアーティストだろう。中学生の頃、バレンタインデーに義理チョコをくれたMさんとNさんに、お返しは何がいいか、と律儀に尋ねてオーダーされたのが、二人とも『CROSS ROAD』のシングルだった。縦に長い8cmの短冊CDな。

つまり、そういうことなのだ。

ポピュラーミュージック、大衆娯楽なんていうものは、時代とともにあって、共有する仲間たちとともにあるものなのではないか。

以前、マクドナルドの店内で子供がドラゴンボールの話をしているのを聞いて、何となく寂しく感じたこともある。

いや、それ、俺らが小学生の時にジャンプでやってたやつだから。平田くんとか吉田くんとかが「か〜め〜は〜め〜波〜ッ!」って叫んでたから。

もちろん、優れた作品は時を超えて愛されるものだし、芸術なんてのは、人間の真理に迫るものだから、自ずと普遍的な性質を帯びるものだけども。

何だろうね。若者には、親が聴いている音楽とか、読んでいる本とか、無視してほしいんだよな。

自分たちのヒーローを見つけてほしいんだよな。

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