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陰口を言わない人

陰口を言わない人は素晴らしいと思う。

でも僕はそういう人をどうも信用できない。

よく言われる話で、人が団結するための簡単な方法は、共通の敵を作ることである。つまり、陰口を言わないということは、共通の敵を作らない、「あなたとは仲間になるつもりがない」という態度なのだ。

素晴らしいことだ。僕も派閥争いみたいのはつまらないと思うし、大嫌いだ。

陰口はかなりの確率で本人に届く。陰口を言う人は得てして人望がないので、こいつを陥れてやろう、と思われるからだ。

陰口を言うことは、そういうリスクがある。

僕は、そのリスクを冒さないことが信用できないのだ。

よほどの人格者でなければ、他者にまったく憤りを感じないということはない。内心に怒りを持たないはずはない。

陰口を言わない人は、リスクを冒して、利用されても別に構わない、という覚悟で胸のうちを話していない人だと思ってしまうのだ。

陰口を言わない人は素晴らしいと思う。

そういう人は、おそらく人から信用されようと思っていない。

だからどうも信用できない、というだけなのだ。

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