友達リクエストを削除

極めて低次元の話である。

私は学生時代の同級生からのfacebookの友達リクエストを削除したことが、二度だけある。メッセージを添えない、リクエストだけのリクエストだった。拒絶した理由は、彼らはただの元同級生で、友達ではなかったからである。

しかし、そもそもfacebookの「友達」など友達であるはずもない。例えば仕事で一度会っただけの人と「友達」になることもある。

私は彼らに何を見てリクエストを受けなかったのだろうか。二人の素性を話してみよう。

二度のうち一度は小、中の同級生のA君である。小学校の頃のA君は、私を見つけたら狂気に満ちた目でドッジボールをぶつけてきたり髪を引っ張ってきたりする奴だった。私は品のいい少年だったので逆らうことはできず、彼を見つけたら避けるようにしていた。

中学に上がったA君は落ち着きを見せ、明るくてちょっとだけやんちゃな男になった。そして、昔二人の間には何事もなかったように、私に普通に接してくるようになった。彼との記憶はそこまでである。

もう一度は大学の同級生のB君である。彼は私の女友達を好いており、用もないのに私に馴れ馴れしく接してくる男だった。共感し合える思想もなく、共に楽しめる趣味もなく、性格もまるで合わない。そのくせ「彼女のこと紹介してよ」などと言ってくる男だった。

当然、私は彼を女友達に引き合わせることはなく、彼もそのことに苛立っている様子があった。勘違いかもしれないが、彼の笑顔の中には、時折、私を見下したような不遜な表情が垣間見えた。周りの友達は彼のことを「いい奴だよ」と言ったが、私は決して信用しなかった。彼との記憶もそこまでである。

彼らは何を思って私に友達リクエストをしてきたのだろう。かつて、私と君たちの間には一瞬たりとも温かい感情は流れなかったではないか。

その一方で思うのは、私は何をそんなにこだわるのかということである。

私は、人に不遇の過去がある場合は同情を感じる方だ。無知ゆえに、過酷な生い立ちゆえに犯してしまう罪はあると思う。小学生のA君など幼かっただけではないか。彼にも私に暴力を振るう複雑な事情があったかもしれない。B君も私に危害を加えてきたわけではない。私の女友達への思慕の念から、ただ思慮が浅かっただけではないか。

そう、おそらく私は、そのように悪意なく無邪気に権力勾配をかけることができた、その動物的な暴力性に、動物的に警戒感を覚えるのである。

加えて言えば、仮に私が彼らの立場なら私に友達リクエストは送らないだろう。この男たちは大人になっても何も変わっていない。

そうなのだ。私はこの男たちの、極めて低次元にある、変わることのない、本質的な無神経さを許すことができない。彼らは私の人生の背景に過ぎず、固有名を持った登場人物となることはないのである。




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