Look Back Again / 矢井田瞳

大学3年の夏、友人に車で街まで送ってもらっていた。古い言葉で言えばアッシーである。そして、金沢では繁華街の香林坊・片町辺りのことを「街」という。豆知識だ。

車中。クールな友人には珍しく、人生の悩みみたいのを吐露してきた。

めんどくせえな、と思った。

僕は基本的に薄情である。

ああ、街が近づいてきた。
この辺でこの話の総括をしなくてはならない。

そこにカーラジオから流れてきたのがこの曲だった。

歌詞を知っていた僕は、

「輝き出すように散りばめられてる」ってよ!

とテキトーにコメントした。

それを聞いた友人は「そやね」と言って、顔をパッと明るくした。

車を降りて街を歩きながら、僕は少し自分が恥ずかしくなった。

輝き出すように ちりばめられてる
後悔も罪も過去も 愛したいから

あなたの御寄附は直接的に生活の足しになります。