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変なワタシがワタシに変わる

「ワタシって変かも」
ため息混じりに言う。


「アナタは変だよ」
嬉しそうに言われる。


「何で嬉しそうなの?」
少し不満気に聞く。


「だって、変だもん。知らなかったの?」
何か、バカにされた気がして、
ふくれっ面は真っ直ぐ遠くを見ていた。


彼は続ける
「ボクはどう?変??」


「うん、変なやつだ」
と強い口調でやり返した。


「じゃあ、お互い“ 変 ”同士だね」
イタズラっぽく笑う。


「変ってさ、
相手と自分の違いに気づいたってこと
変はキミが認めたキミの特徴さ。

変だと思う自分が、
自分の存在を
教えてくれてるんだって思うんだ」


何だか、
わかるようなわからないような返答だが、
なるほどと尊敬の眼差しを向けていた。


確かに彼は変わり者だ
変な言葉の使い方をするし、
いつも、遠くを見ている。

ワタシの周りにはないタイプだ。
顔は普通だが、
そこに魅力を感じている。


「ずっと、前にさ、
変わりたいっていってたよね」

遠くを見つめながら、
私の返事を待つわけでもなく続ける。

「大丈夫、変われるよ」

意外な言葉に、
彼の顔を瞬間的に覗いていた。

「変なワタシを大切にしてごらん。
変なワタシがワタシに変わるから。

変は他の誰でもないキミなんだ。

みんなね、
そこにキミを見つけてる。
そこにキミを感じている。
それが、気になるキミになっている。

キミだって、
みんなに認められたいでしょ?

変じゃなかったら、
キミはいないと同じ。

誰も気づいてくれないキミなんだ」


勇気づけられたような
そうでもないような。

でも、
“ 変なワタシ ”を
認めてくれたようで
嬉しかった。


家に帰り、
スマホを見ると彼から
メッセージが届いていた。


“ 変なワタシ ”
を受け入れて、
大切に出来ると、
周りがその魅力を知る
認められた変なワタシは
“ ワタシに変わる ”


両手で抱えたスマホを
ぎゅっと胸に押し当てて、
遠くを見つめる顔を思い出していた。

「ワタシ、変われる」

胸のスマホに向かって
そうつぶやいた。

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読んでくれた方へ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
全ての「変なワタシ」を開放すること
それが生きやすさにつながる。
そんなことに思いを向けことばをつなげました。

「変」はアナタとの違いでしかなくて
そこには良し、悪しはない
「変」にヨロコビの種がある
「変」を抱きながら進もう

この小説は赤池由記子さんの植物文字から妄想し、
つないだストーリーです。

赤池さんに、感謝とリスペクトを送ります。    



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