資質能力の雑記ー資質能力と学びのメカニズム

保育園は生活、幼稚園は教育の場だ、と思っている人は多い。

2019年の教育要領改訂より、3歳以降の保育はすべて統一され、保育園であれ、幼稚園であれ、子ども園であれ、どこで受けても「教育」であることが明記された。

そんなことは保育実務者しか知らないだろう。こういう事が、ほとんど一般に情報が回っていない。

加えて、幼稚園・保育園という場所への誤解、というか情報不十分さもとても多い。勉強をしているところが教育と思っている人が、あまりに多い。

英語、音楽、工作など時間割にしている園を、質が高いと思っているとか。


現代は、産業社会から知識基盤社会への移行期であり、教育では資質能力、コンピテンシー、あるいは21世紀スキルの育成が求められる時代になる。

「何をしっているか」から、「知っていることをどうつかえるか?」という力が求められる。

それは、教育だけでなく、社会もそうでしょう。右から来た仕事をそのまま正確にこなすことを求めていたのは産業社会のこと。

今は、従来のやり方を疑い、考えながら、工夫し、実行していくことが求められる。社会でも。

じゃあ、そんな人をどう育てていく?と言ったときに、今までの詰込み型はもうだめだよね。だから、これからは学んだ技術や知識を応用したりさ、仲間と上手くやっていけることとか、失敗にめげずに粘りづよく目標に達成できることとか、そんな事を通して学ぶって楽しい、と思える人が大事だよね。

っていう、それが日本では資質能力、って言われている。

そして、今までも沢山の人が言っているけど、那須さんは幼児教育が今までやってきたことから学びなさい!と言っている。

つまり、遊びや生活の中に、または実体験の中から子どもたちは沢山のことを学ぶんですよ~、小学校以降も、ってこと。

ここで、ちくっとくぎをさしてる。たまに、小学校のまねをして時間割で保育者が一斉授業風に教授している園があるけど、あんなの論外だ!と言ってます。

そんなことしたって、これからの大事な資質能力は育ちません。


勘違いしている人が多いのは、うちの子はおとなしくて座って居られるから時間割式のきちんとした教育的な園を選ぶ、という何とも不可解な決め方をしている親がいる(というか、物凄く多い)。

幼児教育において、知識や技術を獲得するというのは混然一体。机に座って、大人に享受されて獲得するのではなく、子どもがやりたい!と思ったときに、できる環境があり、時間が保証され、適切な保育者の関わりがあること。

加えて言うと、机に座ってのお勉強で学んだことは、ほとんど生かされない。今は、YouTubeやメディアの恩恵が子供にまで及び、大人顔負けの知識を有する子が増えている。

しかし、そういった知識は、ただ「知っている」だけで、それをほとんど生かすことができていない「死んだ知識」。

何度も言うが、これから必要なのは『知っていることをどう使うか』。そのYouTubeからでも、テレビから得た知識でも、それをどう使うか、というのがこれからの時代で求められていること。

加えて言うと、僕ら保育者も、右脳と左脳のバランスがめちゃ悪い子たちの実体験をどう保障していくのかということもこれから大事な取り組みだろう。

たしかに、英語をします、ネイティブの大人がいます、体操の専任講師がいます、みたいなうたい文句は分かりやすい。

しかし、分かりやすい事は、必ずしも教育の質に直結するわけではない。


こう考えると、問題は今の大人にある。情報を自分で調べたり、試したりしながら本質は何か?という思考力が明らかに欠けているのだ。

そう、資質能力という学びの視点は、幼児期や小学校期だけではない。言葉の意味を見ると分かるが、とても難しい。これは、那須さんも言っているように、生涯に通じる学びの基盤になる力、だって。

ということは、自分にも当てはまる。

資質能力について考えると同時に、自分の資質能力も高めていく、そんな姿勢が求められる。自戒をこめて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?