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去年 家の梁に留まっていた 白い蛾が
今日 その辺で落ちて 死んだ
死んだ後に、猫に片羽を齧られて
その唾液の匂いでやっと気づいた犬
猫は不味そうにしている

ある星では、タコブネが深い緑の艶を放って
オレンジ色に透けるものもあるらしい
由緒正しい黒目の子は、モノを拾い集めることは禁じられている 
集められずに囲まれるは、稲妻を埋め込んだ真っ赤な壁だけ
       
それでも結構、あおく光るでしょう
海は
死ぬ瞬間に思い出すのは、ゴツゴツとした
骨組みの肉体ではないの

あおく光る向こうの、茶々なロケット
どこにも行けやしないよ
 
どこにも行けないから、プラスチックの技術しかない悲しい博士は
何万メートル上を見上げたって、塵ばかり目に入って、とうとうロケットをこの星から切り離すことはしなかった
塵は彼に寄生して主を塵にしてしまった

依存した、
雪だよ

ニライカナイに辿り着けない
こんな白い世界では
お前の為の詩なんて書かない
糊を固めて作った人形で、
この身体から切り離せない劇を演じる