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またある季節に

秋はまたたくまにかけ

冬が目のまえまでやってきた!

寂寥を身にまとった風が

木々の眠りの証をもぎとっていく

 

生きものたちの合唱はすっかり失われ

世界の陽気さはどこかに消えてしまった

青空は大きな時のめぐりを悲しみ

小さな涕を地上にこぼす……

 

生きものとの別れを惜しむように

七色に彩られた不透明な橋をかけながら

静かな旋律をかなでている

 

生命の骸は冬のあいだに還るだろう

そして それは凍った道を歩み

ふたたびぼくたちと出逢うだろう……


2021年10月24日作品

一言コメント

今回は、久しぶりに詩を投稿します。今作は最近詠んだもので、形式としてはソネットとなります。丁度晩秋から初冬に移り変わる頃の景色を詠ったものとなっており、第一連から第三連では命の息吹が消えゆく様子を綴っています。一方、第四連の方は春の景色を予感する心情を綴っていますが、それと同時にもう一つ表現していることがあります。それは季節が循環するように、生命を構成する物質もまた循環しているということで、このことを”ふたたびぼくたちと出逢うだろう”と表現しています。皆さんはこの詩から何を感じますか。コメントを下さると幸いです。

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