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ウズベキスタン旅行④ ツインテ少女とスワンボートに乗った話


ヒヴァの朝焼けと遊園地

 3日目は移動日。ヒヴァを出発してブハラに向かいます。
 ヒヴァからブハラは列車で移動することもできるのですが、元々2人旅の予定だったので、チャータータクシーを予約していました。残念ながら先輩がいないので1人。
 ちょっと不安に思っていたら、タクシーをお願いしていたウズベキスタン旅行会社さんから前日に連絡があり、「もう一人ブハラに行く日本人がいるので同乗してもいいですか?OKなら50$割引するとドライバーが言っています」とのこと(元々は150$でチャーターしていました。かなり高めだとは思いますが適正価格がいまだにわかりません)。
 1人移動が心細かったのもあり喜んでOK。同乗の関係で出発時間が10時になるとのこと。城壁内は昨日回りつくしたし、しばらく暇だな……。

 ということで、昨日行かなかったヒヴァの北門に向かってみることにしました(この記事のカバー写真です)。というのも、北門の横から城壁に登れる、という話を聞いたからです。前日早く寝たのもあって夜明けごろに目覚めてしまい、城壁の上から朝焼けに照らされる街を見るのもいいかなと思ったのですが……早すぎたのか、城壁に登る階段はクローズしていました。残念。
 やることもないのでホテルに帰ろうとしたのですが、ここでたまたま出会ったウズベク人の少女に話しかけられ、なぜかここから約2時間、スーパーローカルなウズベキスタンの街に連れ出されるという謎体験をすることになりました。なぜ? わからない。

 ツインテのかわいいウズベク少女、一切英語が通じないので何を言っているのかさっぱりわからないのですが、とにかくどこかに案内しようとしていることはわかったので、とりあえずついていきます(今考えたらいくら相手が子供とはいえ警戒心がなさすぎる気もしますが、結果的に何もなかったのでよしとします)。

 ツインテ少女に連れていかれたのは、明らかに開演前の遊園地……日本人の感覚からするとちょっと大きな公園という感じで、昭和のデパートの屋上みたいな遊具があり、全体的に1900年代感というかソ連の置き土産感というか、微妙なレトロ感が漂います。明らかに開園前っぽいのですが(この時点で朝7時前くらい)少女はずんずん遊園地に入って行き、開園準備をしていた遊園地のおじいさんとなにかの交渉をしています。2人の間で話がついたのか、にこにこしながら連れていかれたのは……スワンボート。なんこれ?2人でボート乗るの??昭和のカップル??
 乗って乗って、とジェスチャーで示されるので戸惑いながらもとりあえず乗る私。後ろから軽やかに乗り込んできたツインテ少女は、隣に座るかと思いきや、なぜかボートの後ろ側のスワンのお尻部分に座り込みます。そして私の隣に座ったのはーー遊園地のおじいさんーー

 遠い異国の地の遊園地で見知らぬツインテ少女とおじいさんとスワンボート。私はいったいここで何を……?

 前歯の金歯がきらりと光るおじいさん(ウズベクおじいさんは金歯の人が多かった)は、私に(何言ってるかはわかりませんでしたが)「漕がなくていいぜ!」と宣言すると、力強くペダルを踏み、池を一周します。お、男らしい~!(?)

男らしいおじいさんの足

 このあともまったく言葉が通じないツインテ少女に連れられてガチローカルなバザールに行き、おなか壊さないかドキドキしながらシャシリクを食べ、最後は乗り合いタクシーに乗ってヒヴァまで帰りました。あらゆる意味で謎すぎましたが、彼女と一緒じゃないと絶対にこんなローカルな街を歩くことも乗り合いタクシーに乗ることもなかったと思うので、結構面白かったです。乗り合いタクシー、乗り心地はよくないけどかなり安くて、地元の人は通勤通学でふつうに日常使いしているようでした。公共交通機関の代わりなのかも。

なんか高級住宅街っぽいゾーン(奥に停まっている白いボディにオレンジと黒のラインが入っているミニバンが乗り合いタクシー)

 さて、ローカル体験をして戻ってきたら北門の城壁がオープンしていたのでチケットを買って登りました。ここで親子ぐらいの年齢差の2人組の女性と一緒になったので家族旅行かな、と思ったら「私たち昨日たまたま出会って一緒に観光してるの!彼女はノルウェー人で私はイタリア人!」みたいなことを言っていて、おお、グローバルな陽キャたちだ……と思いました。でも私のほうも「いや、私たちも今朝たまたま出会ったんで一緒にバリローカルなヒヴァの街歩いてきたんですよね、まぁ一言も通じないんですけどアハハ」みたいなことを言ったので向こうも同じことを思ったかもしれません。私の方は無計画なだけの陰キャですが……。


砂漠横断

 さて、謎観光が終わったあたりでホテルに戻り、朝食を取った後はタクシーでの大移動です。

ホテル撮り納め。なかなか綺麗でした。

 別のホテルに泊まっていた同行の日本人の方と合流し、いざタクシーに乗車。この方はホテル経由でタクシーを頼んだようで、「別の日本人と同乗するなら良い車に乗れるよ!安くはできないけど!って言われましたよ~」とのこと。いったい彼女のタクシー代はいくらだったのか……どちらが高くてもどちらかが悲しい気持ちになりそうなのであえて聞きませんでした。

 彼女の言う通り、タクシーは結構車内が広めであまりガタガタしない、あくまでウズベキスタン国内比較ではあるものの、良い車でした。ちなみにウズベキスタンを走っている車は体感9割がシボレーで、このときのタクシーもシボレーです。国策で大量にシボレーを国内生産しているんですね。あまりにもシボレーばっかりなので、1回だけいすゞの販売店を見かけたときはびっくりして「うわっ日本車じゃん!」って口に出ました。

 ヒヴァーブハラ間はおよそ450キロ、日本でいうと東京ー京都くらいの距離です。見渡す限り「うわっこれ社会の教科書で見たわ!ステップ気候ね!」という感じの大地が広がる中、ほぼ一本道を走り続けます。

 この道路はまさにいま整備中のようで、川を渡る橋は列車と車共用だったり(線路一本分の道幅しかなくて、電車が通るときは車が止められる)、片道2車線だったところが途中から1車線に減ったり(そこからは隣でずーっと道路拡張工事してる)、いろいろな意味で発展途上感がありました。3年後くらいに来たら全然違う景色になってそう。

わかりにくいですが、橋に敷かれたレールの上を車が走っている(先に渡って行った列車を見て同行者の方が「あれ乗りたかったんですよね……切符取れなかったんですけど」って言ってた)

 なーんにもないところで時々羊を放牧している人もいて、いったいどこからどうやってここに来たのか本当に不思議でした。たぶん馬なんですけど。

道路沿いの羊を見て騒いでいたらドライバーさんが停めてくれたけど、この後何度でも登場するので3回目くらいで見飽きた


 時々ふっと湧いたようにごく小さな街が現れるんですが、「これがいわゆる昔のオアシスってやつかな」と思ってよく見たらそこにあるのはメタン採掘場で、現代のオアシスには水じゃなくてガスが湧くんだな~と思いました。ウズベキスタンは天然ガスの一大産地らしく、自動車もガソリンではなくメタンガスで走っています。給油所じゃなくて給ガス所がいたるところにある。
 ちなみにウズベキスタンはガスのほかにもウラン・金などの地下資源が豊富らしく、背後にロシアの影がちらついてなるほどね……の気持ちになりました。

 さて、ブハラまで6時間ほどの旅だったのですが、前日の熱中症が後を引いていたのもあり、最後のほうは暑さで少々ぐったり。タクシーがエアコンをつけてくれなかったのが結構つらかったです。現地の人からするとエアコンなしに慣れているからか、ずっと窓を開けて走っていました。頼めばつけてくれたのかもしれないのだけれど、言葉が通じず……。先に旅行会社の人に念押ししておけばよかった!
 車に乗っているだけでこの体たらくなので、絶対にシルクロードの旅人にはなれんなと実感。乙嫁語りでは4日もあればたいていどこでもいけるみたいなこと言ってた気がしますが私には無理です。
 とはいえ、思いがけず同行することになった日本人の方といろいろおしゃべりもできて、しんどいながらも楽しい旅路でした。ハンガリー旅行おすすめ!って言ってたからいつか行きたいな。

 ブハラのホテルについたのは夕方16時ごろ。まだまだ観光できる時間ではありますが、疲れていたのでこの日は早めに休むことに。食欲もなかったのですが、1時間ほど昼寝をしたらやや復活したので、ラビハウズまで少しお散歩して、近くのレストランで食事をしてからホテルに戻ってまた寝ました。限界体力でやや早めにお終い。まぁでもよく考えたら朝6時から謎観光してたわ。

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