淡い線描

薄く伸びる細い線が
輪郭を描き切る前に
ところどころ途切れながら
続いている

線が重なり合う部分だけが
ほんの少し鮮明に浮かび上がる

曖昧で取り留めのない線が
大した意味も理由も授けられないまま
緩やかな曲線を描いている

なめらかに
上昇したり
垂直に
下降したり
ぶつかって
交差したり
並んで
平行したり

無数の線が
脈絡もなく
描かれている

途切れて
かすれた線は
どこかに続いていたのだろうか

何かを描く途中だったのだろうか

仮に何かを描き切ったとしても
例え完成した何かが
どれだけ立派で荘厳だったとしても

線はやはり線でしかない

今も描かれ続ける
無数の淡くかすれた線は
誰かに見つけられることも
誰かに消されることもなく
元が何かも分からなくなった
帆布の上で

ただ埋没している

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