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詩集

158
詩、ポエム、詞のタグが付いた投稿を一つにまとめたものです。
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2022年2月の記事一覧

続きの街から

通り過ぎてきた街の景色はよく覚えてる

活気のある商店街も
風情のある昔ながらの喫茶店も
改装前の古びた駅の改札口も
地下のライブハウスに向かう細い階段も
安くて美味い中華料理屋の赤い暖簾も

ただその街での暮らしぶりだけは
あまり思い出せない
良かったことも悪かったことも
きっとあったはずなのに
何も思い出せない

街を離れる時
住んでた部屋を引き払う時に
全て置いてきたんだろうか

たしかに関

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被写体

写す価値のある
あなたになってみたい

あなたの視点
あなたの振る舞い

あなたのような肢体で
存在してみたい

写す意味のある
わたしになってみたい

わたしの思考
わたしの不充足

わたしのようにしがらみ
埋没した裸体

価値や意味を超えて
色濃く不気味に横たわる悲しみ

ペシミスティックで
あまりに眩しい被写体たち

あなたとわたし
幻と実存

曖昧になる境界