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錦鯉の優勝で出場者の年齢は上がったのか?を公式サイトの全データから検証してみた

早いもので明日はM-1グランプリ2022の決勝です。去年は錦鯉が歴代最高齢で優勝を果たし、20代半ばの自分もかなりグッときました。その結果を受けて、たまに「今年は出場者の年齢が上がったんじゃないか?」という仮説や噂を目にします。また、過去にはそれ以外に

  • 2019年のラランドの活躍で、アマチュア芸人のエントリーが増えた?

  • 2020年のマヂカルラブリーの優勝の影響で、地下芸人が増えた?

といった話もあったように思います。そこで、今回はM-1グランプリ公式サイトのデータをすべてとってきて、それらを検証してみます。

技術的な話は省略しますが、以下のような流れでデータを取ってきて集計しました。せっかくなのでデータを公開したいなと思いましたが、サイトの利用規約に反してそうなのでやめておきます。

  • PythonからSeleniumを使って全コンビのページのHTMLを取得

  • Beautiful Soupでメンバーや過去の出場情報を抽出してCSV化

  • CSVをスプレッドシートで集計


こういうデータを作って集計しました

最初にまとめ

  • 前提として、出場組数は2015年から徐々に増えていて、特に2020年以降の増え方がすごい

  • 出場者の平均年齢は2021(27.1歳) → 2022(27.7歳)に上がっていて、特に40代以上の参加者が明らかに増えている

  • 出場者のアマチュア割合は2015(31%)→2022(56%)と上がり続けているが、2020年以降はコロナ影響もあってか伸び率が小さい。ただ、2020→2021だけはコロナ前の水準近く伸びている(マヂカルラブリー優勝の影響?)

出場数の推移

年齢やアマチュアの割合も気になりますが、まずは「ちゃんとデータが取れているか?」の確認も兼ねて、全体の出場数の推移をみてみます。

出場組数の推移(1回戦不参加は除く)

この図は、各年の1回戦不参加を除いた出場組数です。2015年から増加傾向にあって、2020年はいろんな影響もあって落ち込みましたが、2021年以降は過去にない勢いで増えています。マヂカルラブリーのファンとしては「最下位からの優勝っていうストーリーでみんな熱くなったんじゃないの〜?」と思っています。

余談ですが、「あれ、今年は7261組じゃないの?」と思って、公式のコンビ検索サイトで「2022年に出場してるコンビ」を検索すると6480組しかいませんでした。なので

  • エントリー用紙を出したのが7261組

  • 公式サイトにコンビ情報が載ったのが6480組(それ以外は載る前にキャンセルした?)

  • 1回戦に参加してるのが5395組

という感じなんだろうと推測します。このようなキャンセルや不参加を考慮しても、今年が過去一の盛り上がりを見せていることには先ほどの図を見ても間違いないでしょう。

平均年齢の推移

さて、気になる平均年齢をみていきます。


出場者の平均年齢の推移

この図は、各年の出場者の平均年齢を表したものです。年齢非公開の人(ぱーてぃーちゃんのギャル2人など)は計算対象外としてます。
これをみると、たしかに2021(27.1)→2022(27.7)と平均年齢が大きく上がっています。2020年はご時世もあり中高年の方々が活発になりにくかったためか、平均年齢が小さめになっています。それを取り戻すかのように、2022年では過去最高に近い値になりました。
「たった±1歳くらいの話じゃん」という見方もできますが、1万人以上が参加している大会で、平均値にこの差が出るのはすごいことだと思います。

もっと錦鯉のすごさを知るために、平均値以外もみてみましょう。

出場者のうち40歳以上の割合

この図は、出場者のうち40歳以上の割合の推移を表したものです。これをみると、明らかに2021→2022で増えていて、「1年前からの%の増分」でも過去最高になっています。出場組数が年々増えていることも考えると、40歳以上の参加者がめっちゃ増えたのは間違いないです。

ちなみに、今年の最年長の出場者はナイスアマチュア賞にも選ばれた「ユカピーロコ」のピロコさん(85)で、最年少は7歳で「FLY」のりょうまくんでした。もはや漫才の大会という面だけじゃなく社会貢献性でも評価されるべきでは?

アマチュア割合の推移

次に、マヂカルラブリーファンとしては「2021年以降でアマチュアや地下芸人が増えたのか?」も気になります。しかし「地下芸人」は機械的に定義できないので、単純にアマチュアの割合をみていきます。

アマチュア割合の推移

この図は、出場者のうちプロではないアマチュアの割合の推移を表したものです。所属には「プロ(吉本興業)」「プロ(ワタナベエンターテインメント)」「プロ(フリー)」「アマチュア」などがあり、そのうち「アマチュア」の割合を集計しています。

これをみると、まずアマチュアがめっちゃ多いことがわかります(2022年は吉本20%、その他プロ25%、アマチュア55%でした)。そして、2015年からかなりの勢いでアマチュアが増えていたものの、2020年で伸び方が落ち込み、2021年からは復活してる(?)ように見えます(後半の解釈には贔屓目が含まれます)。
なんにせよ、これだけアマチュアが増えていることは「M-1という内輪が広がり続けている」ことを意味すると思うので、お笑いファンとしては嬉しいかぎりです。

(注)このデータは2022年のM-1公式サイトをもとにしているので、あくまでも「2022年時点でアマチュアの組が、過去どのくらい出場したか」を表したものになります。たとえば、2019年にアマチュアだった組が翌年プロに転向したらプロとしてカウントしているため、過去の状態を正確には表していないことをご了承ください(とはいえ、正確な状態と似た傾向になるのではと思っています)。

さいごに

今回はM-1のサイトからデータを取ってきて分析し、錦鯉やマヂカルラブリー、ひいてはM-1という大会のすごさを再確認しました。明日の決勝に間に合わせたかったのであまり細かい分析はできなかったのですが、今年の優勝者が決まった後にまた改めてデータを眺めてみようと思います。

お笑いが好きな人もそうでない人も、ぜひ明日は午後6時34分から(できれば12時30分から)漫才を楽しみましょう。僕は昼は令和ロマン、夜は真空ジェシカを応援しています。

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