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医療系作品の読みすぎでお医者さんに医学部生と思われたお話

これは、私が大学1年生だった時のお話。

私は、大阪から東京の大学に進学した。

下宿先は学生寮だったが、親元を離れた一人暮らしで毎日新鮮な経験をしながら過ごしていた。

ところが、ある日ついに体調を崩してしまったのである。

発端

異変に気づいたのは夕方だった。
ものすごく寒気があり、お腹の調子もよくない。もしや…と思い体温を測ると38度超え。

ついに一人暮らしで体調を崩すという大イベントが到来したのだ…。

正直なところ、この日の夕飯をどうしたかは覚えていない。日曜日だったので寮の夕飯がなく、恐らくコンビニのおにぎりで済ませたと思う。
ただ確実に覚えているのは、寮母さんに近くの病院を聞いたことだった。


病院へ

体調不良のまま1人で一夜を明かすのはさすがに辛かった。
せめて市販の解熱剤でも飲めばよかったのだが、しんどすぎて頭が回らずひたすら病院が開くのを待っていた。

人生で7番目くらいに辛い夜を乗り越えて、希望の朝がやってきた。
ちなみに、人生で辛かった夜の6番目くらいまでは全部胃腸炎やお酒の飲み過ぎ関連である。

この時病院の開院があまりにも待ち遠しくて、徒歩5分圏内にもかかわらず診察開始の30分前に家を出た。
当然ながら早く着き過ぎたので、近くのローソンを徘徊する羽目になったが、診察開始の15分前には心優しい看護師さんが院内に入れてくれた。

さて、いよいよ診察をしてもらう時が来たのだが、この時私の頭の中は驚くほど冴え渡っていた。

「この苦しみをしっかり伝えたい。経緯をちゃんとわかってほしい。なんとしてもお薬を処方してもらいたい。」

その一心で、これまでの身に降りかかった症状を説明した。

そして、全てを伝えた後お医者さんは開口一番にこう言った。


「君、どこかの医学部生かな?」


「…えっ!??」


お医者さんに医学部生と思われる

「いやあ、症状の説明がすごく冷静だしそれっぽい用語も使ってたからさ〜」
お医者さんは笑いながらそう言った。

確かに、病状説明の時ブラックジャック先生や財前教授を頭に浮かべてた気がする…

実際、私は医療系の作品が好きでそれまでに色々読んでいた。中でも、ブラックジャックは秋田書店の文庫本版を全巻揃えていたし、白い巨塔は原作小説を全編読んだ程だ。

https://www.amazon.co.jp/白い巨塔%E3%80%88第1巻〉-新潮文庫-山崎-豊子/dp/4101104336
ドラマは唐澤財前世代なので、田宮財前もみたてみたい。


何なら、現代文対策と称して入試会場でも白い巨塔を読んでいた位だった。ちなみにその大学の入試は無事不合格でした。

あと、「経過観察」とか「症状の緩和がみられず」とか言った気も…
フィーバー状態の記憶なので具体的に何を言ったのか細かくは覚えていないが、とにかく必死に話したのは確かだ。

だが、私は文学部生だ。
医学部どころか生物の科目は高校1年生以来手をつけていない。

一瞬このまま医学部生として診察を受けてもいいのではと邪な気持ちも芽生えたが、その芽は文学部生の理性がすぐに摘んだ。

「いやあ、まさか違いますよ〜」
とすぐ否定し、医学部の夢は儚くも終わりを迎えた。


結局実家に帰り、学校では退学説が提唱される

診察後薬を処方してもらったのだが、お腹の調子が悪すぎて普通のものが食べれない。
そもそも食欲がわかず、おうどんか雑炊以外食べる気が起こらなかった。寮の食事も言えば対応してもらえるのだが、しんどすぎてそこまでやる気力が起こらなかった。

気づいたら、ジャージに中パジャマの状態で東京駅にいた。

ふらふらだったが、新幹線に乗りさえすれば後は楽と思ってのことだった。

ふらふらになりながらも写真を残すところ、
「受領は倒るる所に土を掴め」精神を感じる

そう、新幹線には多目的室があるのだ。
今回のように体調が優れない場合でも、車掌さんに問い合わせると使えることがある。
※ただし、既に使用中など使えない場合もあり。また、基本は「お身体の不自由なお客様」が優先。詳しくはJRのホームページ(https://www.jr-odekake.net/railroad/service/children.html)へ。

こうして、横になりながら富士山をみつつ実家へ帰宅した。

しばらく休むと無事体調も良くなった。
しかし、折角地元に帰ってきたので研究会の発表で使う写真を撮りに行ったりと、地元にいる時にしか出来ないことを色々こなした。
結局東京へ戻ったのは1週間後のことだった。

久々の大学にワクワクしながら友人に会うと、
この1週間で私の去就に様々な説が提唱されていたことを聞かされた。

一番ポピュラーなのが退学説だったらしいが、転部説や誘拐説、はたまた死亡説まで提唱されていたらしい。

あなや、かなしき。。。

おわりに:無理やり教訓を残す

ここまで自分語りにお付き合いいただき誠にありがとうございました。

折角読んでくださったので、無理やりにでもそれっぽい教訓を書き記したいと思います。

  1. お医者さんに医学部生と思われたい場合には、医療系作品で予習しておく

  2. もし新幹線でしんどくなった時には多目的室の使用を検討する

  3. 大学を1週間休むと退学説が広まる

1,3はさておき、2の新幹線の多目的室は知ってて損はないと思います。
体調が悪い時には、車掌さんに問い合わせてみてください。

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