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日経42,000円突破と円安の終わり③

三つ目。国策による「持続的インフレ(=インフレ税)」。

毎年約2%の物価上昇。

政府も財務省も日銀も、これをなんとしても実現したいし、しなければいけないと思っている。

なぜなら、それは国が抱える借金を「目減り」させるからだ。

「インフレ=借金減」のシナリオは単純だ。

もし2024年から毎年2%の物価上昇が起きれば、35年後の2059年に物価はほぼ2倍となる。すると単純に「税収」は「2倍」、「借金」の価値は「2分の1」となる。

「インフレは借金をしている者に有利に働く」というのは常識である。

日本国が抱える借金は莫大過ぎて、まともに返すことはもはや不可能だ。特に黒田日銀前総裁の「異次元の量的緩和」が日本国財政の「まともな健全化」にとどめを刺した。(よく「日銀が国債を買ったのだから、自動償還されて国の借金は消える」という人がいるがそれはあり得ない。「日銀が民間から国債を購入する(現金と国債を交換する)」=「民間からの日銀当座預金が増える」=「民間に対する日銀の利払が増える」だけだからだ。つまり民間に対する借金は1円たりとも減りはしない。)

だからもはや「まともでない健全化」しか方法がない。それが「インフレ」だ。

海外の投資家は、とっくにそう読みきっている。

彼らは日本の持続的インフレが確認できた時点で、「円買ドル売」に打って出るだろう。

「円安の終わり」=「インフレの始まり」は必然だ。

それを成功させなければ、日本はいつかデフォルトを起こす。

ミネラルウォーターのペットボトルが一本100円から200円になったとき、そして軽自動車1,800,000円から3,600,000円になったとき、日本の借金は実質半額となり、日本は救われる。

一方でそのインフレによって被害者となる者がいる。

それは年金生活者だ。

彼らの年金は、物価が上昇したとしても、「マクロ経済スライド」でインフレ率よりも低い額しか上がらないように制度設計されている。そしてそのインフレは、持続的に彼らの「貯蓄」も蝕んでいく。

「インフレは資産を持つ者に不利に働く」というのも常識である。

だからこそのiDeCoであり、新NISAなのだ。

「1,800万円分は無税にするから、老後のために貯蓄から投資に回せ。貯蓄のままだと35年後にはその価値は半分になるぞ。」

国はそうメッセージを発信し続けている。

つまり、「国民の貯蓄を犠牲にして、国民の資産をリスクに晒すことで、国の借金を目減させる」という「まともでない健全化」に舵を切ったのだ。

そして、それが実現できなければ、日本はデフォルトを起こし、明治維新からの努力はすべて吹っ飛び、IMFの監督の元、国づくりを最初からやり直すことになる。

植田総裁は、それをすべて理解した上で日銀総裁を引き受けた。

財務省OB候補者も、日銀OB候補者も、驚くほどあっさり逃げたのに。

そりゃそうだ。気持ちはわかる。

こんなの誰がどう考えたって「無理ゲー」だからだ。

でも、学者出身の植田総裁は引き受けた。

彼はこの「ゆるやかで持続的なインフレ」に加えて、「市場を混乱させない慎重な量的引き締め」と「短期金利による中央銀行の政策実現の復活」を成功させて、国を守ろうとしている。そして、海外の投資家はそれさえも見越している。

現在の投機的な「円売」は催促。

利上げしろ、利上げしろ。米国の利下げに合わせて次は「円買ドル売」で儲けるから。

今の「円安」は、巷(マスコミ)で言われているような「国力の低下」が原因ではない。これは市場からのメッセージに過ぎない。「インフレ」させるしかない日本の足元を見た、ただの「投機」なのだ。

さて。

日経平均「42,000円」は通過点に過ぎないし、「円安」の終わりは近い。

みなさん、そう思いませんか?

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